第八話「学園生活」
次の日の朝…。
俺の最悪な日々の始まり…。
理由は簡単だ何故なら俺の幸せの連休が明けてしまったからだ。
しかも、
よりにもよってこの迷惑な居候の連中によって、
最悪な連休になってしまった。
そのため、俺はこの連休のために密かに立てていた計画を、
全て狂わされてしまったのだ。
「はぁ〜…」
こうして俺は今、面倒くさそうな顔をして頬杖をつき、
教室の外を眺めていた。
真っ青な雲ひとつない青空。正しく今日の天気は快晴のようだ。
こういう日に限っていいことは全くない。
俺の今までの体験からして間違いない。そう、俺は確信した。
そして、ダルい四時間目が終わり、給食の時間になった。
「神童く〜ん!!」
俺の名前を呼ぶ女子生徒の声が聞こえた。
俺はゆっくり振り返った。
すると、赤い髪の毛をした少女が俺に笑顔で手を振りながらこっちに走ってきた。
しかし、俺の手前にやってきたところで、
何もない教室の床に何故かつまづき、彼女は少し派手にコケた。
しかも、その瞬間俺の顔に何かがぶつかった。
「イテッ!」
「いった〜い!!」
響史とその少女の声が重なる。
俺は自分の顔に思いっきりぶつかった物を掴んだ。
「何だ、これ?」
「ああっ、それ私のお弁当ですっ!!」
「ああ、そうだったのか。大丈夫か、その鼻?」
「あっはいっ!大丈夫ですっ!!」
タラリ…。
彼女の赤くなった鼻から血が出ててきた。
「おいおい、何やってるんだよ…。鼻血出てるじゃん!!ホラこれ使えよ!」
そう言って、俺は彼女にティッシュを手渡した。ちなみに、この女子生徒は俺と同じクラスにして、
俺の弟である亮祐の友達の姉『雛下 琴音』である。
最近は、何か特技を習得したと噂されていたが、それが本当なのかどうかは分かっていないそうだ。
「それで、俺に何の用なんだ?」
「ああ、私と一緒にお弁当食べませんか?」
「えっ?べ、別にいいけど…」
俺はよく分からなかったが、ロッカーの中に入れてあるバッグから自分の弁当を取り出すと、
それを持って食堂へと向かった。
俺達が通うこの光影都立光影学園は中高一貫の学校で、制服は統一されている。
そのため、学年を区別するために、中一は赤、中二は黄、中三は緑の帯リボン。
高一、高二、高三は、それぞれ赤、黄、緑のネクタイである。
学園の校門近くには希望庭園という中庭があり、別名『癒しの花園』とも呼ばれている。
庭園の真ん中には少し大きな噴水があり、水が朝日に反射するとその光が庭園を明るく照らし出す。
この学園は五階建てになってはいるのだが、中央棟だけは、六階建てになっていて、
その六階には生徒会質がある。
―恐らく、一番偉いという意味なのだろう。だが、そうなると先生達はどうなるんだ?
と俺はつくづく思う…。
そして俺達が今向かっている食堂は、中央棟の五階にあるのだ。
エレベーター?そんな便利なものはない。
しかし、個人の意見を言わせてもらえば、すんごく欲しい!!
でもまぁ、そんな我侭を言うわけにもいかないだろう。
まぁそんなこんなで目的地である食堂に辿り着いた。
「すみません、席とっておいてくれますか?」
「えっ、ああ…」
そう言って雛下は俺に弁当を持たせて、何処かに行ってしまった。
―まぁ、すぐに戻ってくるだろう。
俺はそう軽く思っていた。
しかし、なかなか戻ってこない。
ぐぐぐ〜。
腹の音が鳴り響く。周りはざわついていて聞こえはしないだろうが、少し恥ずかしく思う。
辺りを見渡し、聞こえていないことは確認できたが、これからどうする?ダメだ、腹が減って動けない。
しかし、相手が戻ってくる前に食べたらやっぱり相手に失礼だろう。
俺は頭の中で試行錯誤し、最後には一際大きい
ぐ〜ぅ!!
という腹の音に負けてしまい、さっさと弁当の蓋を開け、端を左手に持った。
しかし、弁当の中身を見て俺は息を呑んだ。
「あれ?何これ…。何で魚料理ばっかりなわけ?」
俺は考えた。
―まぁ待て、落ち着くんだ俺。これはきっと誰かの弁当と間違えたんだ。そうに違いない。
でも、気のせいだろうか。この弁当箱どうみても俺のなんだよね?
くっ、どうやらこれは俺の嫌な予感が的中しちまったようだ。これは霊のせいだ。