「ぐはっ!…ゴホゴホッ…」
俺は思わず吐血していた。口の端から赤い血が垂れる。
「くそっ…」
―意識が朦朧としてきた。だが、ここで負ける訳にはいかない。
家では、ルリ達が俺の帰りを待ってる。それに、まだ俺にはこいつがある。
片手に持っている剣を見つめる俺…。
「人間にしては、なかなかやりますね…。
しかし、この攻撃は耐えられるでしょうか?参の型『乱風血祭』!!」
シュンシュン!
グサッザクッ!!ブシャ〜ッ!!
バタッ…。
もう俺は手に力が入らない。
―まずい視界が霞む…。俺、こんな所でやられるのか?
くそっ、ルリを護るって言ったのに、結局口だけの男だったのか?
しかも、よりにもよって年下の少女に殺されるなんて…。
ははっ…俺カッコ悪いな……。
「響史しっかりして…!」
俺の名前を必死に呼び続ける霊の声…。
「姉上…。諦めて下さい、神童さんはもうここまでです…むりろ頑張ったほうです。
私が今楽にしてあげます…。さぁ…準備はよろしいですか?」
零が剣を振り下ろしとどめをさそうとした瞬間、
俺はゆっくり起き上がった。
「ゴホッ…。い〜や、まだだ。こんなところで俺は死ぬわけには行かない!! 」
「!?…これは、さすがの私もびっくりしました。
まさか、参の型でも死なないなんて…。
でも、まだ後四つも型があります…。
果たして、最後まで耐えられるのかどうか…楽しみですね…」
零は俺の体から噴出した返り血が、
やわらかそうなすべすべの白い頬についているのも全く気にせず、
俺に近寄ると、二刀流の剣を逆手に構えた。
バチバチと不気味な音を立てながら点滅する電灯…。
その光に反射して真っ赤な血や、血を纏った舞花刀が鋭く光る。