「これは血?」
そうこの雨はただの雨ではなく血の雨だったのだ。
雨雲から落ちてくる大量の血の雨…それによって、
地面は血で真っ赤に染められていた。
黄色かった月も血の雨雲のせいか、いささか淡い赤色に見えた。
「この雨が血の雨だということは見て分かりますが、
これがただの血の雨だと思ったら大間違いですよ?」
「何!?」
俺がさっと彼女の方を見ると、彼女は目は半開きのまま、
口元だけニヤリと微笑ませ、もう片方の剣から血の雨雲に向かって何かを発射した。
すると、しばらくして先程の血の雨がまたしても俺の頬を伝った。
しかし、それはただの血の雨ではなかった。
何と、俺の頬がシュ〜ッと嫌な音をたてたのだ。
―頬が熱い…。
触ってみると、頬が焼け爛れているような状態になっていた。
俺がハッとして零を見ると、彼女はこの雨について説明を始めた。
「これは、いわゆる酸性雨に似たものです…。
しかし、この血の雨はそれ以上の威力を持っています。
普通の人間であれば簡単に跡形もなく溶けるでしょう…」
零は恐ろしいことを軽くサラッと口走った。
「そんなことしたら、俺以外の人間も溶けて死ぬだろ!?」
「その通りです…。さぁ、どうしますか?」
「くっ!」
俺は無我夢中で手に持っている剣を空高く振り上げた。
すると、眩い光が剣から放たれ、雨酸血祭の雲と同じ広さのバリアが張られた。