「へへっ、これでもうお前の攻撃は利かないぜ?」
「ちっ!全くあなたという人は理解できませんね…。
さすがは、人間…まぁいいでしょう。
ここまで頑張った人は初めてですから仕方ありません。
私の最後の型をお見せしましょう。
今まで誰もこれを使った後に生き残った物はいません。
行きます!漆の型『舞踏・散血祭』!!」
「いよいよ、来たか!」
俺は夜月刀を構え、零の動きを見た。
彼女は、二刀流の片方の剣先から大量の血を流し、
自分の周りを囲むようにした。
すると、もう片方の剣を空中に放り投げた。
それと同時に表情を変えることなくジャンプし、
体をひねって俺に向かって宙を旋回している剣を蹴った。
「まずい!…うわっと!!」
全くもって彼女は危険だ。
何せ、今の俺は正しく危機一髪を言わざるをえない状況だったからだ。
後ろにはコンクリの塀…。
目の前には剣先を俺に向けて、青い瞳を見開き俺を睨み付けている護衛役の少女…。
しかも、俺の左脇には先程彼女が蹴った片方の剣が突き刺さっていた。
剣が刺さったばかりでまだ僅かに震えている刀身…。
霊もその驚きの光景に何の言葉も発することが出来ないようだ。
「言っておきますが、
私のこの型はまだ続きがあるんですよ?
ですから最後まで頑張って耐えてくださいね?」
「!?」
ヒュン!!
今まで無表情だった彼女が急に作り笑顔をしてきたので、俺は怪しく思った。