小説『魔界の少女【完結】』
作者:YossiDragon()

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しかし、そのおかげで俺は咄嗟に彼女の攻撃をかわすことができた。

彼女の横をすり抜け、前転をして交わす俺…。

我ながらカッコイイと思う。

しかし、今のこの状況ではそんな冗談を言っている暇はなさそうだ。

その証拠に俺がさっきまでいたコンクリのブロック塀には、

彼女が振るった剣の跡がくっきりと刻みつけられていたのだ。

―もしも、俺の反応が一秒でも遅ければ…ううぅっ想像しただけでも身の毛がよだつ…。


「へぇ、なかなかやりますね…。では、次の攻撃はかわせますか?」

彼女は、足を後ろに下げ上半身を少しひねると、

片方の剣を逆手に持って、勢いよく回転した。

凄まじい勢いによって、足から火花が散っている。

しかも、コンクリートにも少しばかり黒い跡が残っていた。

すると、ヒュンッ!という音と共に四方八方に風を纏った血の刃が飛んできた。

「くっ!!」

俺は軽くジャンプし背中を猫背にしてカタカナの『コ』の字にしてかわした。

「危ねぇ…」

「休んでいる暇はありませんよ?」

「くっ!?」

―いつの間に…?

一瞬にして彼女は回転を止めて、俺の背後に回っていた。

さすがの俺でもこの攻撃はかわせるはずもなく、

彼女の攻撃をまともにくらってしまった。

「ぐはっ!」

彼女の剣がよほど切れ味がいいのか、俺のわき腹辺りを勢いよく切り裂いた。

切り口から溢れ出る大量の血…。

―これは、何だか彼女に勝っても大量出血で死ぬか、貧血で倒れそうだな…。

「これで終わりです…!」

彼女はクックッとジグザグに向きを巧みに変えながら、

俺の死角から攻撃してきた。しかし、俺はその攻撃を防いだ。

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