「…そんなに、殺されたいのか?」
コクリ…。
黙ったままただ頷く零…。
「分かった…。そんなに死にたいならお望み通り殺してやるよ!!」
「なっ、ダメよ響史!!」
「止めるな!!命を粗末にする奴は、
一度くらい命の大切さってのを学ばないといけないんだ!!」
そう言って、俺は剣を横向きにして勢いよく振るった。
咄嗟に眼をつぶる零と妹が死ぬ姿を見たくないのか慌てて顔を手で覆い隠す霊…。
何の音も聞こえない。
ゆっくり零が眼を開くとヒラリと零の足元に落ちる青い髪の毛…。
「な、何のつもりですか…?」
「ふん…。女にとって髪の毛は命みたいなもんなんだろ?」
「そ、それは…」
「さっきからその前髪うっとうしかったんだよ…。
それで、スッキリした」
俺は少し赤くなりながら頭をかいた。
「あ、ありがとう…ございます」
零から聞こえてくる御礼の言葉…。
その眼には一瞬だが、涙を浮かべていたように見えた気がした。
というのも、彼女の顔を見て俺は目が合わせられなくなったからだ。