「き、響史…。ありがとう、零を許してくれて…」
「いや…。だが、この戦いの跡どうするんだ?」
「それは、大丈夫です…。後で私が責任を持って直しておきます…」
零の言葉を聞いて俺は少し安心した。
「そうか…それはよか…った」
バタッ!
やはり出血が多すぎたようだ。俺は、その場に倒れてしまった。
気がつくと、俺は何故か霊におぶられていた。
「お、おい…。霊何やってるんだ!下ろしてくれ…」
「ダメだよ…。まだ、安静が必要なんだから…」
霊に言われ俺は仕方なく言うことを聞いた。
背中が凄く温かい。これが、女の子の背中…。
小さい頃、姉におぶられてきたが、
自分よりも後に生まれた女の子におぶられるというのは、
男として少しばかり情けなく思う気持ちと、
恥ずかしいという気持ちがあった。
そして、俺は霊におぶられたまま、家に運ばれた。
玄関ドアを開けると、霄が腰に手を当て、ムスッとした顔で俺を睨み付けた。
しかし、俺の状況を見て心配するどころか、ふふっと笑い出した。
「何だよ霄!人がこんなにも怪我だらけで帰ってきたのに、心配するよりも笑うって!」
「ふふっ…。悪い悪い、少し不意をつかれたのでな…。
にしても、何というザマだ。誰にやられた?」
「お前の妹だよ…」
「!?」
「お久しぶりです姉上…」
「れ、零…なのか?」
「はい…姉上、会いたかった!!」
零は今まで見せなかった悲しみの表情を浮かべて涙をボロボロ流しながら霄に抱きついた。