第十二話「護衛役の男」
時刻は九時半…。
ついさっき霄達が風呂に入ったため、まだしばらくは時間がある。
―その頃、光影都市の俺の家の近くの路地裏では不吉な出来事が起きていた。
カツカツカツ…。
黄色い淡く光り輝く月…その光に照らされて一人の青年が暗がりの路地を歩いていた。
車通りの少ない路地裏を通る青年は、黒っぽい帽子を深く被り、
制服の上に羽織物を着ていた。
しかも、その彼はその制服をちゃんと着こなさずシャツ出し状態だった。
すると、彼の行く手に一人の老人が姿を現した。
その青年はその老人に気づき話し掛けた。
「じいさん…。すまねぇが、この写真の男を知らないか?」
「ほぇ?何ですかな?」
「だから、この写真の男を知らないかって聞いてんだ…!」
「おや…この人なら……この先を行った先の家に住んどるよ…」
「そうか…。すまねぇな…」
「いえいえ…」
老人から写真の男の家を聞き出した青年は、
帽子からはみ出た青い髪の毛を風になびかせながら、
写真の男の住む家を目指して歩いて行った。
さらにしばらく進むと、青年の行く手に謎の不良組がたくさんいて、
通行止めをしていた。
この不良たちはこの光影都市の周辺を牛耳っている不良のトップで陽河組という…。
「おい、そこをどけ!」
青年はポケットに手を突っ込みながら言った。
「ああん!?てめぇなめてんのか?ここは俺たちのテリトリーなんだよ!
通りたかったら通行料金払ってから行きな!!」
「…おい!」
青年は冷静に、自分の胸倉を掴んでいるサングラスをかけた不良の腕をガシッと掴んだ。
「ん!?」
「その手を離せ…」
「あん!てめぇどっちが上の立場が分かってんのか!?」
不良の言葉を聞いても青年は動揺を全く見せない。
「何だこいつ…」
「おい、黙ってねぇで何とか言えよ…―」
ガシッ!!
不良が青年の顔を殴ろうとした瞬間、青年は見事そのパンチを手で受け止めた。