「そいつは、強いのか?」
「へっ、あったりめぇだ!若頭が本気を出したら、
さすがのてめぇでもあっという間にやられちまうぜ?」
「あっという間?…ふふっ、面白い!
この俺をほんとに一瞬で倒せるのかどうか確かめてやる!」
青年は腰に手を当て威張るように言った。
しばらくして、黒い車から黒髪のサングラスをかけた、
年齢はこの青年と同じくらいの男が青年の前に姿を現した。
「お前がこの不良達の中で一番強いんだってな?
しかも、この俺を一瞬で倒せるんだとか…」
「せや……」
「おもしれぇ、やってみろ!」
「ええんか?」
「ふん、先攻は譲ってやるって言ってんのさ!」
「この陽河組の若頭『黒鳥 桔梗』も舐められたもんやな!
ええやろ…てめぇのお望み通り一瞬で殺してやるで!!」
そう言って陽河組の若頭である桔梗は軽く素早いパンチを繰り出してきた。
「おおっと!そんな、鉛玉のようなパンチじゃ俺を倒すなんて出来ないぜ?」
「ふっ、少し手加減してやっただけや…。
もうええ…本気でいかせてもらうで!」
「初めからそのつもりだ…」
ヒュ〜…と二人の間に冷たい夜風が吹き込む…。
「くらえ〜!!」
「遅い!」
「何やと!?」
ドグァッ!!
「ぐはぁ!!」
「若頭!!」
「馬鹿な、ありえねぇ…あの若頭がやられるなんて…。
あいつ一体何者なんだ?」
―ふん、伊達に姫の護衛役を務めてきたわけじゃないからな…
心の中でそう思いながら、青年は桔梗の背後に回りこみ、
素早いパンチの連続技を繰り出してきた。
ドガドガドガドガドガッ!!ドフッ!!!
「っがはぁ!!」
―決まった…
青年がアッパーカットのポーズのままふっと笑った。
「若頭〜!!」
凄まじい威力を誇るアッパーカットを決められた桔梗は、
そのまま空中を舞いながらそのままコンクリートに体を打ちつけた。
それと同時に今までかけていたサングラスが顔から外れ、
桔梗から少し離れた場所に落ちた。