「はいはい、今行きます…」
ガチャ!
「はい、どちら……さ…ま?」
「こんにちは、毎度『ピッツァーラ』で〜す!!」
その明るい声に俺は一瞬驚いたが、すぐに冷静になり彼らに尋ねた。
「あの〜、すみませんがピザなんて頼んでませんよ?」
「ああ、いいんです…。
ちょっと道を間違えて届けるのが面倒くさく…じゃなくて、
困難になったので、こちらのピザをさしあげようかと…」
「えっ、でも…」
―晩メシもう食べたんだけど〜!!?
俺は心の中で叫んだがこの人達にそのことを話すのはなんだか気が引けた。
すると、もう一人の俺くらいの年齢の少年が俺に話しかけた。
「すみませんが、もらって頂けませんか?
どちらにせよ、もう捨てるしかないですし…」
「それは少しもったいないきがしますね…」
「ええ…ですから…」
「分かりました…」
―まぁいいや。
ただより安いものはないとはこのことだ…。
まったく今日はある意味ついているかもしれない…。
そう思ったが、それは勘違いだと後で気ついた。
「じゃあ、もらいます…」
「「ありがとうございま〜す☆」」
二人の明るい声…。
そして、その時の帽子を外した瞬間に見た、
ピッツァーラのお兄さんの髪の毛の色を見て俺は眼を疑った。
―ご、護衛役〜!!?
そう、彼の青い髪の毛……間違いない!それに、そういえばこの人目が青い…。
―やっぱり護衛役だ!でもどうしてピザ屋のアルバイトなんか?
「どうかしましたか?」
「あ、兄者!?」
「えっ!?」
俺は慌てて振り返った。その声は霄だった。
―兄者ってことはやっぱりこいつは護衛役…。
「ちっ、どうして分かったんだ?」
「その顔と髪の毛を見ればすぐに分かるだろう…」
「ふっ、さすがは我が妹だな…。我ながら嬉しい限りだ。
どうやら眼力はまだいいらしい…」
青年が話していると突然霄の顔を見た少年が、鼻血を噴き出した。