「ふっ、なかなかやるな。どうやら腕は落ちていないらしい…」
「当たり前だ!」
「だったら、こいつはどうかな?」
そう言って雫はさっきよりも素早い動きで霄に近づき隙だらけの急所を突いた。
「ぐっ!?」
「悪いが、さすがの妹でも大魔王の命令を邪魔するのならば容赦はしねぇ…」
雫は廊下に倒れた霄や俺のことは無視し、ルリに近づいた。
それにいち早く気付いた俺は咄嗟に雫の手を掴んだ。
「!?…何だてめぇ、邪魔だその手を離せ!」
「……」
「離せと言っている!!」
「絶対に離さねぇ!!ルリを魔界に連れて行かせたりなんかしない!!」
「邪魔をするな〜!!」
「ぐわぁ〜!!」
俺は雫の放ったオーラに弾き飛ばされ吹っ飛んだ。
「うぐっ…」
俺はゆっくりと膝に手を着きながら立ち上がると、彼を睨んだ。
「何だ、その眼は?」
「お前だけは、許さない…」
「だったら、何だ?俺を殺せるのか?だったらやってみろ!」
「くっ!!」
俺は簡単な挑発に乗せられ一発相手を殴ろうとしたが、
さっきまで倒れていた霄に腕を掴まれたため、殴ることが出来なかった。
「何するんだ…!」
「お前に…兄者は倒せない…。ここは私がやる…」
「ほう、お前に俺を倒せるのか?」
「兄者…言っておくが私は負けはしない…」
「面白い…。さっきは手加減してやったが、次はそうはいかねぇぞ?」
「望む所だ。だが、ここではこいつらに被害が出る…。
思う存分暴れるなら、外に出ないか?」
「随分と周りの人間のことを気にするようになったな……まぁ、いいだろう…」
そう言って、二人は瞬間移動で外に出ると、お互いに構えを取った。