「お、おい…霄」
「大丈夫か、響史」
「あ、ああ…」
「ほう、あのお前が姫だけでなく何の力も持たない人間を護るとはな…」
「これで、分かっただろう…私は…か…わった…」
霄は少し体にさっきの技の負担がかかったのか、
気絶してその場に倒れてしまった。
「全くこの男に何を吹き込まれたのか知らないが、
これ以上ミッションを長引かせる訳にはいかない…。
弱くなったお前にもう用はない!!」
「なっ!?…何をしてるんだ!!」
俺は雫の行動に不審さを感じ、話し掛けた。
「邪魔をするな、神童 響史…。
こいつにこれ以上邪魔をされるわけにはいかない…」
そう言って、雫は腕を構え、水の波動を手に生み出した。
「止めろ!!」
俺は無我夢中で彼に飛び掛った。
しかし、やはり人間と悪魔では力の差があるらしく俺は軽く吹き飛ばされた。
「なるほど、どうやらお前から先に殺されたいらしい…。
いいだろう、だがお前の力とやらをまだ確かめていないからな…。
先程、お前は人間にも力はあるなどとほざいていたな。
ならば…」
雫は霄の側に落ちていた妖刀『斬空刀』を拾うと、
片方の手をポケットに突っ込み、その剣を俺の足元に放り投げた。