「何だ、お前姫に聞いていなかったのか?
姫には人間界に来た本当の目的があるんだよ!」
「本当の目的?」
「その内容を聞けば、お前もそんなことをしている暇はなくなるぜ?」
「くっ!!どういうことだ?」
俺は左肩から溢れる血を抑えている雫の胸倉を掴んだ。
「まぁ、落ち着け…。今すぐにではないが、
お前達の世界は俺達、悪魔の物になるってことさ…」
「なっ!!?」
俺は訳が分からなかった。
今までルリや護衛役の零達が来るなどの、
不可思議な出来事が連続で起き続けてきたが、
今聞いた彼の話が一番危険であるに違いない…。
「まぁ、いい…。お前の力の程は分かった。
今回は俺の負けだ。だが、次はこうはいかないぜ?」
雫はクルッと後ろを向くと、ゆっくり歩き始めた。
しかし、彼は途中で足を止めた。
「それと、…霄にすまなかったと伝えておいてくれ…。
じゃあな、ワガママな妹達だが、兄としてよろしく頼むぜ?」
雫は片方の肩に手を置いてもう片方の手をポケットに突っ込むと、
そのまま光影中央公園を後にした…。
「おい霄。大丈夫か?」
「うっ、ああ…。何とかな…それよりも兄者は?」
「ああ…行っちまった。
それと、お前にすまなかったって伝えておいてくれだってさ…」
「ああ、そうか…。どうやら、兄者は昔と何も変わっていないようだな…。
昔と同じで優しいままだ」
その彼女の言葉に俺は疑問を抱いた。