小説『魔界の少女【完結】』
作者:YossiDragon()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

「何だ、お前姫に聞いていなかったのか?

姫には人間界に来た本当の目的があるんだよ!」

「本当の目的?」

「その内容を聞けば、お前もそんなことをしている暇はなくなるぜ?」

「くっ!!どういうことだ?」

俺は左肩から溢れる血を抑えている雫の胸倉を掴んだ。

「まぁ、落ち着け…。今すぐにではないが、

お前達の世界は俺達、悪魔の物になるってことさ…」

「なっ!!?」

俺は訳が分からなかった。

今までルリや護衛役の零達が来るなどの、

不可思議な出来事が連続で起き続けてきたが、

今聞いた彼の話が一番危険であるに違いない…。

「まぁ、いい…。お前の力の程は分かった。

今回は俺の負けだ。だが、次はこうはいかないぜ?」

雫はクルッと後ろを向くと、ゆっくり歩き始めた。

しかし、彼は途中で足を止めた。

「それと、…霄にすまなかったと伝えておいてくれ…。

じゃあな、ワガママな妹達だが、兄としてよろしく頼むぜ?」

雫は片方の肩に手を置いてもう片方の手をポケットに突っ込むと、

そのまま光影中央公園を後にした…。


「おい霄。大丈夫か?」

「うっ、ああ…。何とかな…それよりも兄者は?」

「ああ…行っちまった。

それと、お前にすまなかったって伝えておいてくれだってさ…」

「ああ、そうか…。どうやら、兄者は昔と何も変わっていないようだな…。

昔と同じで優しいままだ」

その彼女の言葉に俺は疑問を抱いた。

-63-
Copyright ©YossiDragon All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える