「いや、怒らないで聞いてくださいッス。
その…実は僕は道端で雫さんと出会ってその後、
彼にこの場所を案内するように頼まれて仕方なく来たんス。
でも、チャイムを押しても誰もいなくて、
仕方なく風呂場に回ったときに声が聞こえてきて、
もしかしたら風呂に入っているんじゃないかと思って、
窓を開けたらそ、そのあなた方がいて…。
その誤って裸を見てしまったんス!すみませんッス!!」
「き、貴様〜〜〜殺す!!」
「ひぃいい〜!!」
秋次は顔を真っ青にして腰を抜かし、
後ろに下がり木で出来たタンスに背中をくっつけた。
よほど霄が怖かったのだろうガクガクと体を震わせていた。
「その本当に申し訳ないッス!!」
「絶対に殺す…」
「まぁ、そう怒るなって!!」
俺は霄をなだめた。
「それに、その傷ついた体でこれ以上、暴れたら危険だ。
今日は安静にしておいたほうがいいって。
怪我の手当てもしないといけないし…」
「くっ、仕方がない…今日だけは許してやるが、次はないと思え…」
「ひいいぃい…」
秋次はこの場からすぐにでも離れたいと思ったのか、
玄関ドアを勢いよく開けて何処かに行ってしまった。
「待てよ、秋次と一緒に雫もいたんだから、
あいつも風呂場を覗いたってことだよな?」
「はっ、…くっ!兄者〜!!」
―光影都市路地裏…
「ブアアックション!!ズズズ…誰か俺の噂してやがるな…。
にしても、あいつらがまさかあの男によって変わるとはな。
『人間だけじゃなく悪魔も変わりたいという思いさえあれば変われるんだよ!』か…。
あの霄が俺に歯向かうようになるとは…今日はいい思い出が出来たな。
(いろんな意味で…)」
そんなことを思いながら雫は暗闇の路地を歩いていった。