小説『魔界の少女【完結】』
作者:YossiDragon()

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「それで、実は元々人間界なんてのは存在しなかったの」

「人間界が存在していなかった?」

「うん、元々ここは人間界なんて場所じゃなくて、

理想郷っていう場所だったの。天界の人間や魔界の人間。

他にも、冥界の人間も行き来して疲れを休めたりする、

正しく私達にとってはとても大事な場所だったの。

でも、その美しさに皆は魅了されて、

ついにはそれを手に入れようと考え出す奴らが現れたの。

その一人が、私のお父様…。

恐らく、その場所を自分だけの物にしようと思ってたんだろうね…。

でも、それを他の奴らが許すはずがない。

お父様は何としてでも理想郷を手に入れようと、

ありとあらゆる手を使ったけど結局失敗に終わった…。

でも、それでも何度も何度も同じ事を繰り返すから、

ついにその戦いを見兼ねた私のお母様が理想郷を魔界や冥界、

鏡界の人間達から取り上げて天界の物にしてしまったの…。

それが、今の人間達で言われている天国の楽しさの理由…。

天界に理想郷を置いているから人々が楽しめるものも揃っているんだよ…。

もちろんお父様は天界に行こうと思った。

でも、天界から降り注ぐ光にはお父様も勝つことが出来ない。

何せ、お父様達魔界の人間つまり悪魔や大魔王にはその光は天敵だから…。

しかも、悪魔なら中には平気な奴もいるけど、

お父様は大魔王で一番光を苦手としているの。

だから、理想郷に手を出すことが出来なかった。

しかも、お母様は魔界の人間に厳しい罰を与えた。それが、このストッパー…」


「前から少し気になってたが、何なんだそれ?」

俺はルリや護衛役達の腕についている銀色の変わった形をしている腕輪について尋ねた。

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