「これは、私達悪魔の力を抑えるために作られたもので、
あることをしないと外れないの」
「あることって?」
「それは私達悪魔には教えられていない。
そして、それは悪魔だけじゃなくもちろん大魔王であるお父様にもつけられた。
もちろん、拒んだけどお母様にはお父様も手を出せなかった」
「どうして?」
「お父様はお母様をその頃から愛していたの。
好意をよせている相手をさすがのお父様も殺すことは出来なかったみたい…。
でも、そのストッパーの効果が出るのは魔界から出た時だけ…。
要するにお父様達は魔界から出なければ思う存分力を使うことが出来るの…」
ルリの言葉に俺は思った。
「じゃあ、他の世界に入らない限りは力を制限されないってことか!!」
「そういうこと!」
ルリはその通りというように俺に指をピッと向けた。
「それでも、諦めの悪いお父様はどうにかして理想郷を手に入れようとした。
その頃、天界ではお母様が無の世界と化した元あった理想郷の場所に人間界を作ったの」
「そういえば、人間ってどうやって生まれたんだ?」
「元々人間なんて生き物はこの世界には存在していなかったの。
でも、ある研究が行われた」
「研究?」
俺は少しその“研究”という言葉に興味を持ち、
少し身を乗り出してルリの話を聞いた。
霊達は疲れただのと言って先に寝てしまった。
部屋には俺とルリの二人だけしかおらず、辺りは静まり返っていた。
「それで、話の続きは?」
「うん、その研究というのは天使と悪魔二つをくっつけるという、
何とも不思議な実験なの…」
「天使と悪魔をくっつける?一体、どうやって…」
「子供を作るの…。人は皆子孫を残すでしょ?
それと同じ方法で天使と悪魔の二つの力を持った子供を生み出したの…。
それは、いわゆる『天魔』と呼ばれる生き物…」
「天魔?」
俺は突然意味不な言葉に困惑した。