第十四話「二人の関係」
次の日の朝…俺は自然に目覚めると目の前に護衛役の霄がいた。
どうやら、俺は横向きに寝ているようだ。
すると、彼女はムニャムニャと寝言を呟いていた。
よ〜く耳を澄ませてみると…
「お、おにぎり…」
―えっ!?
…どうやら、彼女はおにぎりの夢を見ているようだ。
―にしても、どんだけおにぎりが好きなんだ?
そんなことを思いながら俺は寝返った。すると、今度は零がいた。
すると、またしても寝言が聞こえてきた。
「お…」
―ま、まさかまたおにぎりなんて言うんじゃないだろうな?
「オムライズZZZzzz…」
―ええぇえええ!?そこはちゃんとオムライスって言おうぜ?
ていうか、どうしてこの二人は「お」から始まる食べ物しか言わないんだ?
しかも、共通している!?ていうか、和風と洋風ってどんだけ〜!!?
まぁいいや。あれ?っていうか、さっきから体が重い…。
どういうことだ?
俺はそんなことを思いながらふと、掛け布団を持ち上げてみた。
すると、俺の上に少女が乗っかって眠っていた。
―えっ!?ちょっと待って?青い髪の毛…。そんな馬鹿なだって、
123…既に三人いるよな?…っていうことは新しい護衛役!?
俺は慌てて掛け布団を戻した。
バサッという布団の音…。俺はゴクリと喉を鳴らし、
もう一度慎重に掛け布団を持ち上げた。
―…やっぱり髪の毛が青い…。っていうことは護衛役だよな。
俺は思い切って話し掛けた。
「あの〜もしもし…?」
俺が顔を俺の体にこすり付けて顔が伺えないが、
どうやら少女であることは間違いないようだ。
その時、少女が顔を上げて眼を擦りながら俺を見つめた。
寝起きの少女と視線が思わずあってしまう…。
「ふぁ〜あ…ん、おはようございますですわ」
「あっ、おはよう…」
「あれ〜私どうしてここで寝ているんでしょう…」
少女は右目を擦りながら周囲を見回した。
すると、近くにいた霊を見るや否や突然彼女は半開きの眼を全開にして、
霊に抱きついた。
「お姉様〜!!」
「きゃぁ!!な、何?えっ!?ど…どうしてあなたがここにいるの?」
「いやですわ〜。お姉様に会いに来たんですのよ?」
少女は霊の背中に腕を回し、笑顔で彼女に抱きついていた。
俺は彼女が護衛役ということしか把握できておらず、少し遠慮がちに霊に尋ねた。
「な、なぁ…霊。その子誰なんだよ?」
「あら…。自己紹介が遅れてしまいましたわ。
私は姫様の護衛役で霊お姉様のの妹の『水蓮寺 霰』と申します…これからお世話になりますわ」
彼女の「お世話になります」という言葉がどうも俺は気がかりでならず、
小さな欠伸をしながら聞いた。
「えっ、ていうか護衛役なんだから俺の命を狙いに来たんじゃないのか?」
「あっ、私はそういうものに全く興味が無いんですの…。
私が好きなのはお姉様だけですから…」
「だから、くっつかないでよ〜」
霊はさっきから霰を拒みっぱなしで、俺には何が何なのか分からなかった。
すると、その二人のじゃれあいの声で他の皆が目を覚ました。
「な〜に、こんな朝早くに…眠いんだから、もう少し寝かせてよ〜」
ルリが掛け布団に体を包み込み、体を丸くする。
霄はいうと、寝覚めが悪いのか思いっきりムスッとした表情で、
まだ眠いのかコックリコックリ頭を何度も傾けながら霊と霰の様子を伺っていた。
零は、寝ても起きても相変わらず無言のままだった。
しかし、霰を見た瞬間彼女は俺の肩をつんつんと人差し指でつついて、俺を呼んだ。
「どうかしたのか?」
「どうして、霰姉様がいるんですか?」
「さあな。何でも霊に会いに来たとか…」
「姉上にですか?」
「ああ…」
俺が説明すると、零は二人を見ながらフッと少し小さな声で笑った。
その顔が俺は印象的だった。
何せ彼女のこの表情を見たのは初めて彼女に会って戦った時以来だったからだ。
その時、俺は彼女ならどうして霰があんなにも霊のことが好きなのか知っているかもと思い、
彼女に質問した。