「そうだったこんなことをしてるんじゃなかった」
「どうかしたのか?」
霄が全てのおにぎりを食べ終わりゆっくりその場に立ち上がり聞いた。
「ああ…。霰が陽河組とかいう不良集団にさらわれた」
「何!?皿が割れただと?」
「そんな、だじゃれは……普段ならつっこんでやりたいところだが、
今はそんな暇はない!おい、霊行くぞ!」
「うん!」
霊は少し用意に戸惑っていたようだった。俺は先に階段を降りて、靴をはいていた。
すると、俺が靴をはき終わった頃に霊が階段を降りてきた。
「おい、急げよ?」
「分かってるよ…」
霊は少しせかされていらだっていた。
ようやく、全ての準備が終わり俺は外に出た。
―そういえば今日学校だったな…。
ったく、明日学校に行ったら何か言われそうだな。
そんなことを思いながら俺は霊と一緒に陽河組のアジトへと向かった……。
―ここは陽河組のアジト。少し荒れ放題になっているが、
それでも建物はまだ丈夫な方だった。俺達は入口から中に入ると、
広間らしき場所を見つけそこまで走っていった。
そして、ようやく広間に到着し俺達は陽河組のボスらしき人物を見つけた。
「ようやく、来たか…。待ちくたびれたぞ?」
ボスの声に俺は少し走り疲れながら言った。
「はぁ…はぁ、お前達のせいだぞ?」
「何?」
「お前達が…一緒に同封しているとか言って…はぁ。
実際には地図が入ってなかったんだ!」
俺の言葉を聞いてボスが叫んだ。
「何だと!?あれほど地図を同封しておけと言ったのに!!」
ボスが他の手下達を怒鳴り散らした。
「す、すみませんボス…」
俺はようやく、呼吸が落ち着いてきたところでゆっくり顔を上げた。
すると、目の前に羽織物を羽織ったボスが少し高そうな椅子に座っていた。
しかも俺が一番印象に残ったのは彼のその頭だった。
―…はげている。いや、坊主なのか?
いや、ていうかこのつやめいているこのキラキラ…。
これはもうツルツルの域を越してトゥルットゥルッだ!!
そう俺は思った。すると、すぐ隣にいた霊のクスクス笑う声が聞こえた。
「お、おい…霊。お前何笑ってるんだ?」
「だって、あの人…ふふっ。ハゲてるんだもん…」
「おい、相手に失礼だろ?あの人だってハゲたくてハゲたんじゃないんだから…」
「お前等、さっきから聞いてればハゲ、ハゲってボスに失礼だろうが!!
ボスはハゲてるんじゃねぇ!!髪の毛がないだけだ!!」
ドガッ!!
「お前が一番、失礼なんだよ!!」
ボスが椅子に座ったまま手前に立っていた手下を蹴り飛ばした。
「す、すみませんボス…」
手下が腰をさすりながら、傾いたサングラスを調える。
「ところで、本題に入るが、お前達には今日は用があったんだ」
「用?」
「そうだ」
「そんなことよりも、霰はどうした!?」
「霰?ああ、あの娘か…。あの娘なら向こうの部屋にいる…。
今桔梗が見張っているはずだ。もちろん、返すがただというわけにはいかない」
「何?」
俺は少しムキになってしまった。
「まぁ、落ち着け…。お前達はしばらく席を外してくれ…」
「へい…」
陽河組の手下達はボスの言葉通り広間から姿を消した。
すると、そのことを確認したボスが話の続きを始めた。