「お、おい!大丈夫かお前等?」
「きょ、響史…。た、助けて…。私達にはもう…ム…リ…ガクッ」
―ええぇええっ!?マジで俺がいない間に何があったんだ?霊もこんな感じだし…。
俺はよく周りを見回すと、霄がいないことに気がついた。
さらに俺はその臭いが台所から臭ってくることに気付き、台所へと続く引き戸を開いた。
すると、それと同時に今までの数百倍の強烈な臭いが吹き込んできた。
「うぐぅうわあぁ…!?」
俺は鼻がひんまがりそうだった。そして、俺はついにその臭いの原因を突き止めた。
それは、霄が作っていた料理だった。その料理は凄まじい煙を巻き上げ、
換気扇を回していないため臭いが中に篭っていたのだ。
また、台所にある窓も全て閉めてあったため、
今まで台所に溜まりにたまった臭いが扉を開けたと同時に溢れ出てきたのだ。
「お、おい…霄。お前一体何を作ってるんだ?」
「ふふふ…ようやく戻ってきたか、響史…。お前を待っていたぞ?
他の皆はこれを食べてあまりにもの美味しさに泡を吹き出して気絶してしまったが、
お前なら大丈夫のはずだ!」
―いやいやいやいや、ムリムリムリムリィイ〜!!!?た…たたた、助けてくれ〜!!
こんなの、食べれるはずないだろ?つ〜か、何これ?
「な…なぁ霄。これ、何て言う食べ物なんだ?」
「見て分かるだろ?スープだ!」
―どぅえぇ〜!?これ、スープじゃねぇよ。これよく魔女とかが混ぜてる、
あのおどろおどろしい魔法の液体だろ?しかも、この煙めっさどす黒いし…ぶくぶく泡出てるし…。
「これってさ、スープだから調味料とかも入ってるよな?」
「ああ…今回は豪快に塩コショウやレモンなんかの酸味や辛味も入れてみたからな…、
少しばかりスパイシーかもしれないな…」
「へ、へぇそうなのか〜」
俺はしれ〜っと背後にあった家具から塩などの濃度を測る器具(なぜあるのかは不明)を取り出し、
それを霄に気付かれないようにスープにつけ、スイッチを入れた。
すると、あっという間に数値がオーバーし、壊れると同時にぶくぶくと謎の液体スープに溶けていった。
―ええぇええぇえ〜っ!!?いやいや、おかしいだろ?
レモンや塩コショウを入れて少しスパイシーになったって言ってたけど、
これ軽くスパイシーを超えてるよね!?つ〜か、金属の機械溶けちゃったんだけど?
つ〜か、金属の機械が溶けてどうして、この鍋は原型を保ってるの!!?訳分からないんだけど…。
一体、何なのこのスープ。これはあいつらの言うとおりある意味“兵器”だ!!
悪魔が倒れるほどだから、人間の俺は体が耐えられず溶けるんじゃないのか?
そう思うと俺は一気に血の気が引くのを感じた。
俺は、さっと向きを反転させその場から逃げ出し、廊下に置いてある電話をかけた。
「こいつは、もう汚物処理班を呼んであの兵器を処分してもらわないと…!」
俺は震える手で番号を打ち込んだ。そして、受話器ボタンを押して汚物処理班を呼んだ。