「あっ、もしもし汚物処理班の方ですか?今すぐに来てください…。
家に汚物の兵器があるんです…。えっ、少し道が混んでいて遅くなる!!?とにかく、急いでください…!!」
ガチャッ…俺は頭を抱えてその場にしゃがみこんでしまった。
―このままでは、どうしようもならない。今は霄からあの汚物を取り上げることに専念しよう…。
しかし、どうやって奪い取る?今の霄はとても危険な汚物を持っていて、俺にとっては危なすぎる…。
もしも、取り上げたとしてもその時の衝撃で液体が俺の体にかかっても終わりだ…。
そうならないためにも何か作戦を立てないと…。
とその時霄が例の汚物を両手に持ち、不吉な笑みを浮かべながら俺に近寄ってきた。
相変わらず謎の汚物からはシューシューと不気味などす黒い煙が舞い上がり、俺から見る霄の顔を覆う…。
―どうして、あいつは何ともないんだ?全く、あのスープを一体どうやって作り出したんだ?
そして、彼女は俺の一歩手前まで来ると、俺にそのスープを差し出した。
「さぁ、食え…。私が作った料理だ…。まずいとは言わせないぞ?」
「と、所で…霄その料理は、初めてなのか?」
「ああ…もちろんだ。今までは料理はいつも妹の担当だったからな…。
私はそんな面倒な作業はしたことがない…」
その言葉を聞いて疑問に思い、単刀直入に彼女に聞いた。
「じゃあ、どうして今回は料理を作ったんだ?」
「えっ?いや…なんというか、少し興味があっただけだ。
それに、誰も料理を作らないというから仕方なく私が作ったただそれだけのことだ…」
その説明を聞いて俺は一瞬思った。
―全く、あいつら姉妹なんだからこいつが料理が下手なのくらい少しは理解していたんじゃないのか?
そんなことを思いながら俺は差し出された目の前にあるスープを、
恐ろしい物を見るような眼差しで見つめた。
「どうした、食わないのか?」
「いや…さすがにこのままじゃ食えないし…?」
俺は少しスープを出来るだけ飲めないような口実を作ったが、すぐに彼女は冷静な判断力で言った。
「仕方ないな…。全くお前は…ほらこのスプーンを使え!」
―……。えっ、つうか今どっから出した!?
俺は少し驚いた。しかし、俺は微動だにせずスプーンを手に持たなかったため、
彼女もじれったくなったのか、はぁ〜と深い溜息をつくと、
そのスプーンを汚物のスープにつけ一口分すくった。シューシューと不気味な金属が溶ける音が聞こえる。
俺はいつの間にか、靴をはく廊下の端に腰が抜けたような状態になっていた。
すぐ側には、気絶しているルリが横たわっている…。
すると、霄は溶けかけのスプーンを無視して、俺の口元にスープを運んだ。
俺は必死に口を閉じ、微弱な抵抗を行った。と、その時いつもなら強気で、
正しく昔の武士らしい雰囲気を漂わせている霄が、急に頬を赤らめて俺を見つめだしたのだ。
その行為にはさすがの俺も口元を緩ませてしまった。
しかも、その彼女の顔に俺はせっかく彼女が作ってくれた料理を食べずにいるということに罪悪感を感じ、
あまりにも霄がかわいそうになってしまい、俺は思わず口を大きく開けて、
どうにでもなれという感じで彼女の持っていた溶けかけのスプーンに入った汚物のスープを食べた。
それと、同時に彼女は俺に嬉しそうな表情を見せた。俺は一瞬ドキッとしてしまったが、
それもつかの間、突然俺の体が異常な反応を起こした。
突然腹が鳴り、廊下に四つんばいになった様な状態で、転げまわった。
その姿に霄はさっきまでの表情が一変して、いつもの顔に戻ってしまった。