無理もない…。俺達が味噌汁を飲んで口直しをするということは、
軽く霄の作った料理に対する無礼に等しいからだ。
「ま、まぁいろいろあったけど、とりあえず食べようぜ?な?」
俺は少しきまずかった。周りの皆はず〜っと黙ったままだったからだ。俺達が晩御飯を食べていた時、
俺はふと思った。一瞬、地面が揺れたような気がしたのだ。
それから、しばらくして俺はこの空気を何とかして変えようとテレビをつけた。
すると、パッと最初にテレビ画面に映ったのは、ニュースだった。
まぁ、たまにはいいかとおもいながら、俺はご飯や味噌汁を食べた。
他の皆はもうそろそろ食べ終わる頃だった。と、その時緊急ニュースが流れ始めた。
【臨時ニュースをお伝えします…。
一時間程前、光影都市のある住宅地でトラックの横転事故が起きました】
俺が丁度味噌汁を口に含んでいたその時、
【事故にあったのは、この二人で…―】
「ぶふぅううっ!!!」
俺はテレビ画面に映し出された二人の男性が先程の汚物処理班の二人だということに気がつき、
思わず味噌汁を吐き出してしまった。しかも、それが目の前にいた霄にかかってしまった。
「…、響〜史〜!!(怒)」
「うわぁああ、ごめ〜ん!!」
俺は真剣を鞘から抜き取る霄の行動にビビってリビングから逃げ出した。
すると、ゆらりと斬空刀を片手に立ち上がった霄は俺を追いかけた。
「はぁ〜。全く、お姉ちゃんも懲りないよね…」
「そうですね…」
俺達の逃げたり追われたりする行動をぼ〜っと眺めている霊達…。
そして、俺はこのまま逃げていてもきりがないと思い、思い切って霄に謝った。
「ごめん…霄。俺が悪かった…」
「反省しているという意思表示をしろ…」
「えっ!?」
「それが出来れば、お前を許す…。もし、出来なければ……その時は分かっているな?」
彼女の剣をキラリと光らせるのを見た俺はゴクリと息を呑んだ。
俺はふーと一息ついた後、彼女の眼をちゃんと見て、俺は土下座をした。
しばらく続く沈黙と零や霊、霰の冷たい視線…。そして、ルリの何が何なのか理解せずに笑っている顔…。
「…で?」
「えっ!?」
俺は何がダメなのか分からず、彼女に尋ねた。
「何がダメなんだ?」
「誰もダメだとは言っていない…ただ少しな…」
「?」
「とりあえず、そこに手をついて、よつんばいになってくれ…」
「えっ!!?」
俺は少し嫌な予感がした。
すると、霄は俺の背中に脚を置いて椅子に腰掛けた。
「ん〜。何だか、清清しい気分だ…。お前もそう思わないか響史?」
「えっ…あ、うん。そうだな…でも、これって何か違くないか?」
「何が違うんだ?これで、いいだろ…。まぁ、今日の所はこれで許すことにする…。
ありがたく思えよ?次はこうは行かないからな?」
「あ…ああ」
俺はもう二度とするまいと心に誓った。何しろ、次同じことをすればもう命はないと自覚したからだ。
すると、ニュースにさらなる進展があった。
【え〜。只今入った情報によりますと、生中継が入っているようですね。え〜現場の山田さん山田さん!!】
【はい、こちら現場の山田です…。見てください、現場はこの通り凄まじい状況です…。
トラックも横転していて、運転手達もかなり重傷だということです。
しかも、彼らはまだ意識不明の重体だそうです…。原因はどうやらトラックの横転ではないようです。
では、トラックの荷台に何が積まれていたのか少し確認してみようと思います…】
そう言って、中継中の山田さんとかいう人が横転したトラックの荷台に近づいた。
すると、突然彼が咳き込み始めた。