小説『魔界の少女【完結】』
作者:YossiDragon()

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「!?」俺は自分の舌を疑った。今俺が食べているこの食パンはいつもと違い、とっても美味しかったからだ。かといって、いつも買っているパンを変えたわけではない…。だとすると、一体何が原因なのだろうか?俺は、近くにいた霰に聞いた。

「なぁ、このパンって何処から持ってきたんだ?」

「さぁ?」

「えっ、さぁって…。じゃあこのパン何処のか誰も知らないのか?」

俺の質問に皆が頷く…。

「はぁ〜」

―まぁ、仕方がないか…。それよりも急いで学校に行かないとまたしても遅刻になる…。

ただでさえ、この間陽河組の料理係で一週間休んでるからな〜。

内申点を今の内に、出来るだけあげとかないとな…。

俺は食パンを食べ終わると喉を潤すために、白い冷蔵庫の扉を開け、

扉についている棚にぎっしり並べられた透明の容器に牛乳が入った便牛乳を一本取り出し、扉を閉めると、

白い冷蔵庫にマグネットをつけてぶら下げている便牛乳の蓋を開ける専用の器具を取った。

それを、手際よく使いこなし蓋をポンッと開けると、腰に手を当てて

ゴクゴクゴク…!

と一気に飲み干した。

「ぷはぁ〜!やっぱり、朝一の牛乳は最高だな!!」

「…まるで、おっさんみたいだぞ響史?」

「うっ!!…お前が言うか?」

俺は昨日の夜に彼女が便牛乳を飲んでいた時のことを思い出した。

ふと、壁にかけてある時計の時間を見ると、もう時刻は八時を示そうとしていた。

「やべぇ、急がないと、本当に遅刻するぞ!?」

「じゃあ、いこっか!!」

ルリが木で出来ている椅子から降りて立ち上がった。

「よし…!」

俺はリビングの扉を開けて、廊下を歩いて行く。玄関の前においてある靴を履き、家の鍵を手に取る。

そして、俺は皆が家の外に出たことを確認すると家の鍵を閉め、ちゃんと閉まっているか確認した。

最近は物騒だというからなおさらだ。そして、俺達は少し足早に学校に向かった。

すると、俺が暗い路地裏の方を通りだしたのを見た霊が俺に言った。

「ねぇ、こっちで合ってるの?」

「ああ…。本当は大通りの方からでも行けなくはないんだが、

今日は少し急がないといけないからな、近道的にこっちの方が早いんだ!」

俺はそう言いながら、狭く暗い路地裏に広がるくねくねした、

素人なら思わず迷ってしまいそうな、迷路状の道を抜けた。

すると、すぐ目の前に俺の通う光影学園が現れた。

「ここが、神童さんの通っている学園ですか?」

「ああそうだ…。よし、とりあえず校長室に行こう!」

俺は彼女達と一緒に、他の生徒がたくさん校門から学園内に入っているのを無視して中に入って行き、

昇降口から校長室に向かった。その時、俺の名前をある人物に呼ばれた。

「お〜い、神童!!」

俺と同じクラスで昔から一緒にいる『藍川 亮太郎』だ…。

コイツは、何とも言えないよくタイミング悪くやってくるため、

クラスの奴にはよく空気が読めない通称KYと呼ばれている…。

「ど、どうかしたのか?」

「どうかしたのかはこっちのセリフだ。そんなにたくさん可愛い女の子を連れて、

いつも地味〜な感じのお前らしくない!」

「余計なお世話だっつ〜の!!」

俺は少しムスッとした。

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