「あれ?でも…今、殆どが満点って言いましたよね?ってことは、満点じゃない奴もいるってことですか?」
「ええ…」
「ちなみに…?」
「神童 瑠璃さん…」
「あちゃ〜、やっちゃった」
―お前か〜!!!?
「でも、それでもなかなかのもんよ…777点ですもの…」
―ある意味奇跡だよ〜!!!すっげぇな…777ってトリプルセブンじゃん!結構、凄いよ…?
パチンコでもなかなかトリプルセブンなんて出ないのに…いや、やったことないけども!
「まぁ、これで全員第二の条件クリアね…よかったじゃない、おめでとう!
さっそく、制服の採寸しないとね…」
校長がそう言って椅子から立ち上がろうと机に両手をつくと、霄が遠慮がちにオロオロと目を泳がせながら、
手を上げた。
「あら、どうかしたの?」
「私的には、この制服のままがいいのだが…」
「あら、ダメよ!そんなの…ちゃんとこの学園の制服を着ないと…」
「だが…」
「まぁ、いいじゃねぇか一応、採寸するだけしてもらえば?」
「そ、そうだな…分かった」
俺は何とか上手いこと霄を言いくるめた。
「美川先生〜!」
そう言って、校長は保険医の美川先生を呼んだ。美川先生とは、この学園の保険医の先生で、
以前俺も魚料理の骨が喉にささり、気を失ったというみっともない出来事の際に、
お世話になったことがある。
「は〜い!お呼びですが、校長先生…」
「この子達の制服の採寸をお願い出来るかしら?」
「あら、久しぶりですわね…しかも、この子達、随分顔が似ていますし…」
「髪の毛の青い女の子達は姉妹なんですって!」
「あら、そうなんですか?分かりました…久しぶりにやるので、少し時間がかかるかもしれませんが、
はりきってやらせてもらいます♪」
―はりきるって、あまりはりきりすぎても困るのだが…まぁいいか。
とにかく、俺は彼女達を見送り、校長と教頭と俺だけこの場に残った。
すると、周りに誰もいないことを確認した校長が急に俺に近寄り、俺の耳元で小さな声で囁いた。
「ちょっと、ちょっとどういうことなの?あの点数…信じられないわ。今まで、
誰もあんな点数取ったことないのよ?しかも、よりにもよって満点だなんて…まさに奇跡に近いわ…しかも、
あなたにあんなに可愛い美少女の従姉妹や妹がいたなんて…」
「いや〜俺も最近分かったんですよ…」
「えっ?」
―しまった…つい口が滑ってしまった。
「いや、何でもありません…こっちの話です」
「あら、そう…?」
「所で、クラス編成の件ですが…」
「あ〜、クラスね…まぁとりあえず、あなたと同じクラスでいいんじゃない?」
―えええ〜っ!!!?それは、俺的にはめっちゃ困るんですけど〜!!確かに、
あの顔で性格も普通ならいいんだが、性格が異常だからな…しかも、全員悪魔で力加減って奴を、
まるで知らないんだ…。しかも、あいつらと俺が同居してるなんてことが、クラスの奴にバレても最悪だ!
特に亮太郎には…!そんなことを俺が頭を抱えて呟いていると、
「そろそろいいかしら?」
とか何とか言って校長がルリ達が採寸している部屋の扉を開けた。
「きゃあぁああ〜!!!」
ドガッ!バギッ!!
「ぐふっ!!…あはは、どうやらまだだったみたいね…」
「何やってるんですか、校長先生…」
「久しぶりに昔の心が目覚めかけただけよ…」
―二度と目覚めないでくれ!!
…そんなこんなで、さらに十分が経過し、ようやく採寸が終わり、
ルリ達が戻ってきた。にしても、随分疲れたような顔をしているが、一体何があったというのだろうか?
「どうしたんだ、そんなに疲れた顔して…?」
「ちょっと、キツかっただけ…」
「?」
俺はよく分からずに、まぁ軽く相槌を打ってその場をきりぬけた。校長は少し殴られた箇所を擦りながら、
採寸結果の紙を見つめた。少し目が悪いらしく、引き出しからメガネケースを取り出すと、
カチャッとメガネをかけた。話は変わるが、その校長のかけていたメガネがとてもおかしかった。
というのも、そのメガネは少し両端のメガネが上に向かってとがっていて、
まるで『何とか山の少女何とか』に出てくる、おばさん秘書がつけていそうなイメージがあった。
「教頭先生…すぐにこのサイズに合う制服を持ってきて!」
「わ、分かりました…」
教頭は慌てて制服の置いてある場所へと向かった。
そして十分くらいして、ようやく教頭が額の汗を拭いながら息切れしながら戻ってきた。
「はぁはぁ…お、お待たせ致しました…こちらが、制服です…こちらが、中等部用の制服…そしてこちらが、
高等部用の制服となります」
教頭が制服についての説明を終えて、制服をルリ達に手渡しした。
「あちらで、着替えてきてもらえますか?サイズが合わなければサイズを変えなければならないので…」
「わ、分かりました…」
ルリは、護衛役のメンバーと一緒に着替えの部屋へと向かった。さっき採寸してもらっていた部屋とは、
また別の部屋でしかも、声が聞こえやすい部屋なのか、彼女達の少し篭った感じの声が聞こえた。
しばらくして戻ってくると、彼女達の制服姿を見て、俺はますます普通の人間の女の子と、
変わらないんだなと思った。
「どうやら、丁度いいみたいね…」
校長の言葉にルリ達も同意した。
「じゃあ、これでよろしいですね…分かりました。あっ、それと他の体操服や、
七月程から始まる水着などについてはまた後日お渡ししますので…」
その教頭の話を聞いていた校長が言った。
「あら、今在庫ないの?」
「ええ、はい…どうやらその様で…」
校長の言葉に、少しばかりビクッとしながら教頭が言った。
「じゃあ、神童君…彼女達を教室にまで連れて行ってあげて?」
「あっ、分かりました…じゃ、失礼しま〜す」
俺は校長室の扉を開け、軽くお辞儀をしながら扉を閉めた。