三話『不意打ち卑怯?立派な策のうちよ!』
砦の上から飛び降りシンクとエクレールの前に着地する
「誰も手を出すな! 勇者とタレミミはワシが相手をする!」
「閣下の決闘だ!」
「うおおおぉぉぉ!閣下ーっ!」
ガレット兵の熱気はピークを達するどころか、まだ上がる見込みだ
エクレールが目で周りの兵達に下がるように伝え、ビスコッティ側のもシンクとエクレールを残して兵達は距離を取った
それを確認したらしく、それまで険しかったレオの表情が僅かにだが緩む
ガレットとビスコッティは基本的友好関係、故にレオとシンクも久しぶりの再会となればまずは挨拶を交わしたいところだろう
「久しぶりじゃの、勇者」
「お久しぶりです、レオ閣下。昨日こっちに召喚された後に伺いたかったんですが、そのまま戦と、あと閣下の方も都合が悪かったと伺ったので挨拶しそびれてしまいました」
「そうか。まあ気にするな。ワシが忙しかったのは事実だしの・・・さて、兵も見ているところじゃ、そろそろ始めるとするかの」
「レオ閣下、この戦が終わったら、ガレットに正式に挨拶に行ってもいいですか? ガウルにも会いたいですし」
「そうか、確かにガウルの奴はお前に会いたがっていたな。・・・じゃが来るのはこの戦に勝った上での招待、というのはどうじゃ?」
ニッと笑ってレオが大剣を構えた
「そうはいきませんよ、閣下。前と少しは変わったってところを見せます!」
シンクもパラディオンを構える
「行くよ、エクレ!」
「言われなくてもわかっている!」
エクレールもやる気満々なのか、すこし強い口調で言う
「来い、勇者にタレミミ・・・少しは強くなったところを見せてみろ!」
『さあ! いよいよレオンミシェリ閣下が登場! プラリネ砦の攻防戦、ますます盛り上がってまいりました!』
実況がさらに拍車をかけ、プラリネ砦は今日最大の盛り上がりを見せた
◇
「さぁ、どうするでござるか?」
ダルキアンがゴドウィンの目の前に剣を突きつける
「ぐぬぅ・・・無念というところか・・・」
ゴドウィンが降参のポーズを取る
「うむ、敵将討ち取ったでこざる!」
平野にいた2番隊が、勝ちどきを上げようとした瞬間ーー
「ダルキアン郷、勝ちどきにはちと早くないか?」
上空から声が聞こえてくる。兵たちは空を見上げていると
「よそ見とはいい度胸だな?」