小説『ソードアートオンライン~1人の転生者』
作者:saito()

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ダンジョンに入って暫くは水中生物型がほとんどだったモンスター群は、階下に行く毎にゾンビやゴーストといったアストラル系のモンスターに変化していた。

アスハとアスナは相変わらずそういったタイプのモンスターは苦手なようで終始顔を引きつらせていた。

ここまで深く潜るとキリト1人では大変なのでサイトも前にでた。

しかし……

それがいけなかった。

ユイとレイがキリトとサイトどっちが強いかで話してしまいそれぞれ自分の父親のほうが強いと言い出した

「パパのほうがつよいです!」

「ちがうよ、僕のパパのほうがつよいよ!」

サイトは困ったように2人をなだめようとしたが徒労に終わった。

おまけにキリトが【試してみるか?】と言い出してしまいなぜか勝負になってしまった。

名付けて………

(キリトVSサイト、モンスター討伐数バトル!)

子供たちをそれぞれに妻に預け、2人は走り出した。

「「パパがんばれ!」」

2人の声援が同時に聞こえ、

「「負けないからな!」」

2人はお互いにそういいモンスターの群れに飛び込んだ。

ここがいくら60層レベルと言えども、2人は安全マージンを30はとっているので1人でも苦労しない、いや自分の子どもにいいところ見せようがんばるのでよりいつもより強さがましている。

そんな夫2人の光景を見ながら2人の妻は呆れていた。

「すみません、ユリエールさん。」

「本当申し訳ないです。」

アスナ、アスハに謝罪されユリエールはとんでもないと首を横に降った。

「おかげで順調にすすめてますし。なによりすごい強さですね。私ひとりじゃこんな……」

「「あ、あははは」」

2人の妻は笑ってごまかすしかなかった……

いっぽうのサイトとキリトは子どもにいいところを見せようと躍起になっていた。

キリトも普段は二刀はあまり使わないが、この時だけはサイトに負けるわけにはいかないと全力だ。

サイトとて妖刀スキルを発動させ鉄砕牙の奥義を使っている。本来、風の傷は外で使わないと周りが壊れてしまうがここは仮想世界のためその心配もない。

しばらくして、アスナがマップでシンカーの位置近くまできたことを告げたのでそこで勝負終了。

結果は……


サイトの勝ちのようだ。


まあ、風の傷を使えば一度に大量のモンスターを討伐できるのでキリトが負けるのも仕方がない。

「やった、さすがパパ!」

といってレイがサイトに飛びこんだ。

サイトもそれを抱きとめてよしよしと頭を撫でてやった。

キリトに今回は勝たせてもらったと礼を言いユリエール振り向いた。

「アスハにアスナ、それにユリエールさんもステータスを見てな、きっとすごいことになってるぜ。」

3人はサイトに言われるがままにステータス画面を開けて確認した。

「えっ&#8264;これは、」

「いったい、どうして……」

「なぜだ……」

3人は口々に疑問の声をあげる。

「どうやらここのダンジョンは戦っていなくてもPTの 誰かがモンスターを倒せば、パーティメンバーにも経験値が入る仕組みらしい。」

「それは、また変わったダンジョンだな。」

サイトの説明を聞き、キリトもステータス画面を確認しながら頷いた。

「これでユリエールさんもレベあげの手間がだいぶ省けただろう…」

サイトは3、キリトは4、アスナとアスハは6、ユリエールに至っては15もレベルが上がっていたのだ。

そりゃまあ、入口からここまで3時間弱歩いて60層レベルのモンスターと連戦だったので途方もない経験値を稼げたのであろう。

それに、ここはまだ誰にも攻略されていない言わばエキストラダンジョンとでも呼ぶべき場所だから。

するとその先に、ついに暖かな光の洩れる通路が視界に入った。

「あっ、安全地帯よ!」

アスナが言うと同時に、索敵スキルで確認したサイトとキリトも頷いた。

「奥にプレイヤーが1人いる。」

『グリーンだよ。』

アスハの声とともにユリエールが叫んだ、

「シンカー!」

もう我慢できないと言うように、シンカーの名前を叫ぶユリエールが、金属鎧を鳴らして走り始めた。

サイトは咄嗟に思い出した。

まずい、その先は………。

だめだ!!進むなーー!

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