今回はサイトは出てきません
アスハ回ということでお楽しみください。
では本編どうぞ!
38
「サイト君……」
アスハが目を覚ましてはじめに口にした言葉がそれだ。
自分の頬を一筋の涙が伝うのがわかる。
複雑な気持ちだ。
ゲームがクリアーされ無事に現実世界に戻ってこれたことはうれしい。
しかし、アスハとって代償は大きかった……
自分が初めて本気で好きになった人、その人が自らの命を犠牲に現実に返してくれた。
少なくともアスハはそう信じている。
けど、喪失感が消えない。
こんなことなら、ずっと囚われていたほうが良かった…
なんてマイナスなことを考えていると病室の窓から日の光が差し込んできた。
暖かい光だ。
まぶしくなくアスハを包み込むように差し込んでいる。
その温かさはまるで彼の腕に抱かれているような感覚だ。
「泣かないって約束したね…。
さよならは言わないよ。また会えるって信じてるからね。」
日の光相手なのかそれとも独り言なのかどっちでもよかった。
不意にそう言いたくなり誰とも分からぬ相手につぶやいた。
アスハは窓の外を眺めた。
コンコン不意に扉を叩く音がした。
「どうぞ。」
アスハは涙を手で拭き誰か分からぬ来訪者に向けて言った。
ガラガラと横開きのドア開けてはいってきたのは……