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ガラガラと横開きの扉が開いた。
そこに立っていた人物はお見舞いの花束で顔を隠して立っていた。
「あの、どちら様ですか?」
アスハは顔の見えない来訪者に不安を覚えながら聞いた。
その男は無言でアスハのベット近くまできて一言つぶやいた。
「おかえり…アスハ…」
その声を聞いた瞬間再び涙が頬を伝う。
それは誰よりも会いたくて誰よりも声を聞きたかった人がそこにいた。
あの時、アインクラッド第75層でプレイヤーを代表して茅場晶彦に挑み己を犠牲にして解放してくれた人=サイト。
溢れる涙を堪えながらアスハも言った。
「ただいまサイト君。そしておかえり…」
「ああ。ただいまアスハ。」
2人の顔がどちらともなく近づいていき唇が触れ合った。
こんどは仮想世界ではない。
現実だ。
不意にサイトはアスハを抱き上げた。
「ひゃあ…///サ、サイト君…?」
「見せたいものがあるんだ。」
サイトはアスハを抱きあげたまま病室を出て屋上に連れて行った。
そこは美しい夕日が見えている。
「これを見せたかったんだ……」
「キレイ………」
アスハは抱かれながら美しい風景に見惚れている。
そこには夕日に照らされた2人の姿が写っている。
そしてそこには腰に長剣を携え白いワンピースを着た美少女と赤い衣を見にまとい腰に妖刀を携えた少年が手をつないで歩いて行った。