小説『ソードアートオンライン~1人の転生者』
作者:saito()

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「さて、まずどうする?」

サイトはキリトに尋ねた。

「どうするって当然世界樹に行くに決まってるだろ」

キリトは怪訝そうに言った。

「行くって行ったてこの世界ではSAOみたいにワープはないんだぞ……」

「えぇ……?」

「なんだ…知らなかったのか……、まったく普通基本的な情報くらい調べるだろ?……」

「す、すまない……」

「レイ、ここから世界樹までどのくらいかかる?」

「はい、リアル置換で50kmです。」

「かなり遠いな。」

「わかっただろう?いくらステータスが強いかといって未知の世界を情報なしに進むのがいかに危険か」

「サイトがいてくれて本当に助かった、」

「今はとりあえず世界樹の根元にある央都アルンを目指そう。」

「それはそうとこの世界では飛べるんだろ?どうやってやるんだ?」

「ああ。その説明も必要だな」


『ああ。背中に羽根があるだろう。』

キリトは立ち上がり、首を捻って肩越しに覗き込んだ。

「おお、ほんとだ、羽根がある。」


キリトの背中からは、クリアグレーに透き通る鋭い流線型の羽根(まぁ、羽根と言うよりも昆虫の翅と表現した方が正しいが)が伸びている。

サイトの羽は鳥の羽が真っ黒に染まった感じだ」

キリトは動かし方が分からないようで、サイトたちを振り向いた。

「どうやって飛ぶんだ?」

『補助コントローラがあるだろう。』

「はい。

パパ、左手を立てて、握るような形を作ってみて下さい。」

サイトの肩に座ったユイの言葉に従って、キリトは手を動かす。

するとその中に、簡単なジョイスティック状のオブジェクトが現れた。


『それを手前に引くと上昇、押し倒すと降下、左右で旋回だ。』

「ボタン押し込みで加速、離すと減速となっていますね。」

「ふむふむ」


キリトはスティックをゆっくり手前に倒した。

すると、背中の翅がぴんと伸び、ぼんやりと燐光を放ち始める。

彼がそのままスティックを引き続けると、


「おっ」


不意に、体がふわりと浮いた。

ゆっくりとした速度で森の中を上昇していく。

1mほど浮いたとこでニュートラルに戻し、今度は天辺のボタンを押し込んだようだ。

キリトの体が滑るように前方に移動していく。

しばらく旋回や降下を試していく内にコツをつかんだキリトが降りて来た。


突然レイとユイが顔をはっと上げた。

「どうした?」

「プレイヤーが近づいてきます」

『数は大体4人くらいか。』

「はい。3人が1人を追っているようですが……」


「おお、戦闘中かな。見に行こうぜ。」


「あいかわらずパパはのんきですねぇ」

『まったくだな。』


キリトはアイテムウインドウを操作して初期アイテムの片手用直剣を背中に装備した。

それを抜いて、感覚を確かめるように数回振っている。


「うわあ、なんかちゃっちい剣だなぁ。軽いし……。」

『それは初期の武器だからな。』

「そりゃそうだけど……まあいっか……。」

サイトはかつての愛刀である鉄砕牙と闘鬼神の二本腰に携えキリトのあとに続いた。

「うわ、サイトはなんか堕天使って感じだな。」

「ほっとけ…行くぞ。」

サイトは意識を集中して羽を広げた。

バサバサと音を立てながら舞い上がる、数本の羽が辺りに舞い落ちて美しい光景作り出す。

「キリト、お前も早く来い。」

「え、ああ、ってサイトはコントローラなしで飛べるのか?」

「もちろんだ。2人してできなかったらカッコがつかないだろ?」

「とにかく助かるよ。ユイ、道案内よろしくな、」

みんながユイの後に続いていく、


しばらく飛行していると、草の茂った空地が見えてきた。


「あそこです!!」

ユイが指さす方向に目を凝らすと、3人のサラマンダーと1人のシルフがそれぞれのエモノを構えている。

「おい、着地には気をつけろよ」


俺はそう言うなり、速度を上げて降下した。

距離が近付くにつれて、4人の顔がはっきりと見えてくる。


シルフの彼女には見覚えがあった。

おれは、ーーーーーーリーファか!

俺は着地し、間に割って入った。

「なんだ?!」

「貴様、何者だ!」

「………」

リーファは謎の乱入者に驚いている。

「女の子1人に3人がかりは卑怯ってやつじゃないの?」

若干喰ったようにサイトが挑発する。

その時に後ろの灌木がガサガサ揺れる。その瞬間に黒い人影が飛び出して来た。

キリトだな……やっぱり、忠告しただけじゃ駄目だったか。


俺は、はあとため息を吐きながら片手を額にあて、それを見守る。


それはサラマンダーのすぐ横をすり抜け、空中でぐるぐると錐揉みしたあと、派手な音を立てて草の中に墜落した。

予想外のことに、リーファとサラマンダーたちが呆気に取られてもう1人の乱入者を凝視している。

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