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俺たちは現実化世界で目を覚ますと時計の針は7時を回っていた。
俺は起きてキッチンに向かい夕食の仕度をはじめた。
すると、直葉と和人がそれぞれ自分の部屋からおりてきた
「あ、彩斗さん、いつもすいません。」
「お、彩斗今日の飯はなんだ?」
「もう!お兄ちゃん!」
「まあまあ、今日は昨日から煮込んでいた、カレーだ。それとサラダだ。」
2人の会話を苦笑いしながら俺は3人分のカレーとサラダをならべた。
「んじゃ、いただきます!」
和人が出されたカレーを見ると直ぐに飛びついた。
「もう!お兄ちゃんは!彩斗さんいただきます。」
「どうぞ。」
直葉に続き俺もカレーに手をつけはじめた。
「うわ!一晩煮込むだけでこんなにも!」
和人が感嘆の声をあげた。
「まあな。他にも色々な工夫があるからな。」
「すごい!彩斗さん美味しいです!」
多めに作ったカレーは見事に売り切れた。
食事の後、俺は部屋に戻りレイの力を借りてあるプログラムを完成させた。
そして、明日葉に連絡を取り疲れた体を休ませることにした。
翌日、毎度の如く朝食、昼食を用意し約束の時間が近づいてきたので俺たちは部屋に行きナーブギアをかぶった。
IDとパスワード入力後、数度瞬きすると、昨日泊まった宿屋の1階。酒屋のテーブルが見え始める。
ちょうどリーファも店に入ってきたようだ。
「やあ、リーファ。」
『早いな。』
「ううん、さっき来たとこ。ちょっと買い物してたの。」
「あ、そうか。俺たちも色々準備しないとな。」
『俺は今のままでいいがキリトだな。ほら、こいつを使え。』
そう言って俺はアイテムストレージから一振りの剣をだした。
「こ、これは!いいのか?!」
「ああ。こいつはお前のものだ。」
俺はかつての彼の愛刀であるエリュシデータを渡した。
キリトは久しぶりに再開した愛刀の感触を確かめながら背中につけた。
俺たちはそれぞれの胸ポケットで寝ているユイとレイに呼びかける。
「「……ユイ、レイ、起きろ。行くぞ。」」
するとそれぞれのの胸ポケットからユイとレイがちょこんと顔を出し、大きなあくびをした。
「あ、そうだ。念のため防具も見に行こうか?
そのままじゃたよりないでしょ?」
「そうだな。キリト防具も揃えておこう。」
「あ。お金、持ってる?なければ貸しておくけど。」
「えーと……」
キリトが左手を振ってウインドウを出し、ちらりと眺めると、顔を引きつらせた。
これは、あれだな。キリトも俺と同じだったか。
『いや、大丈夫だ。キリトは結構懐に余裕があるからな。』
「そう?なら、早速武器屋行こっか。」
「あ、ああ。」
リーファの行きつけの武具店でキリトの防具一式をあつらえ終わった頃には、街はすっかり朝の光に包まれていた
さんざん迷って結局買ったのは…
防御属性強化されている服の上下にロングコート、防具で買ったのはそれだけだ。
まさにSAO時代と同じ格好だ。
ちなみに俺の防具は火鼠の皮衣だ。
こいつは火や光の呪文やブレスに強く、防具としての性能も高く尚且つ服のように軽いという優れものだ。
しかし真っ赤なので目立つのがデメリットなのだが……
余談だがALOで、与ダメージ量を決定づけるのはとだけだが、それでは速度に勝るシルフ族やケットシー族のプレイヤーが有利になってしまう。
そこで、筋肉タイプのプレイヤーは、攻撃力に勝る巨大武器を扱いやすくなるように設定してバランスを取っているのだ。
シルフ族の場合、スキルを上げればハンマーやアックスを装備できないこともない。が、固定隠しパラメータの筋力が足りないらしく、とても実践では使いこなせないのだ。
キリトのようなスプリガンはマルチタイプの種族だが、彼は見た目が華奢なので、スピードタイプに見られることが多い。
だから俺は軽そうに見えて本当はとんでもなく重たいエリュシデータを彼に渡したのだ。
現に今も、リーファに呆れた眼で見られているしな。
(ちなみに渡した時にリーファがすこし持たせてと言ってきたのだ。)
「そんな剣、振れるのぉー?」
リーファの言葉に、キリトは涼しい顔で頷いた。
「問題ない。
それにサイトの使っている刀のほうが化け物みたいに思い」
「え……」
キリトのその言葉に、リーファの視線が突き刺さるのを感じながら俺は素知らぬふりを貫き通す。
実際、俺の武器は変化し見た目からは想像できない位の重量を誇る武器に変貌する。
まあそれは、鉄砕牙だけだか。
俺は二本の刀を腰にさしている。
この刀はまず普通のプレイヤーには使いこなすことはできないからな。
剣としては扱えてもその真髄たる妖気を使った奥義は発動できない。
俺は目立つの避けるため普段は闘鬼神をつかっている。
蒼龍破なら雷系の呪文としてごまかしが効くレベルに抑えられるからな。
鉄砕牙はだめだ。
普段は錆刀のようになっているが、一度鞘から抜き放てば、大太刀へと変化してしまうからな。
それに風の傷の威力も風系の呪文でごまかしが効くレベルではない。
なんと言っても一振りで百の魔物をなぎ払うからな。
その威力は絶大だ。
まあ、刀の説明はこの程度にしておこう。
さて、行くか。
俺とキリト、リーファが手を重ねその上にレイとユイが小さな手を重ねた。
「「「「「いざ、世界樹へ!」」」」」