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ログアウトしたサイトたちのアバターが自動的に待機姿勢を取ったのを確認したリーファは、サイトたちの近くに腰をおろし、ぼんやりと空を見つめた。
すると、サイトとキリトの胸ポケットからもぞもぞとユイとレイが顔を出し、リーファを仰天させる。
「わぁ!……あ、あなたたち、ご主人様たちがいなくても動けるの?」
「そりゃそうですよー。ぼくたちはぼくたちですから。」
「それと、ご主人様じゃなくて、パパとママです。」
「そういえば……なんであなたはサイト君とキリト君のことをパパって呼ぶの?
もしかして、その……2人がそういう設定にしたの?」
「……パパとママは、わたしを助けてくれたんです。
自分たちの子供だ、ってそう言ってくれたんです。」
「だから、パパなの。」
「そ、そう……」
上手く状況を理解できないリーファは再び口を開いた。
「パパたちのこと好き?」
レイはうんと無邪気に答えたがユイは違った。
ユイはふいに真剣な表情で真っ直ぐ見つめ返した。
「リーファさん……好きって、どういうことなんでしょう?」
「ど、どうって……」
口ごもるリーファは、少し考えてからぽつりと答える。
「……いつでも一緒にいたい、とか、一緒にいるとどきどきわくわくする……そんな感じかな……」
サイトとキリトの顔を見て呟いたリーファは、何を思ったのかはっと息を呑むと、頭をぶんぶんと振ってその思考を追い出した。
それを見たユイが、怪訝そうな顔で首を傾げる。
「どうしたんですか、リーファさん?」
「ななななんでもない!」
リーファが大声で叫んだその途端ーー。
『何がなんでもないんだ?』
「わっ!」
いきなりキリトに話しかけられてその場を飛び上がってしまった。
「ただいま。……何かあったのか?」
「おかえりなさい、パパ、
今、リーファさんとお話をしてました。人を好ーー」
「わあ、なんでもないんだったら!!」
「ん?、レイなにかあったのか??」
「ユイとリーファさんがお話し、してたんですけど内容がよくわからなくて……」
なるほどな、レイがわからないってことはあの話だなと俺は内容が分かり1人頷いた。
「さ、先を急ぎましょう!」
照れを隠すかのように足早に歩き始めた。
俺たちも、慌てて後を追ったのであった。