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鳥の鳴き声とともに、俺は目を覚ました。
ベットから起き上がりいつものように朝食を用意するべくキッチンに向かう。
今日の朝食はフランスパンにグリーンサラダ、コンソメのスープだ。
いつものように朝食を作っていると直葉が眠そうな目をこすりながらおきてきた。
「おはよう。スグ。」
いつものように朝の挨拶を交わしたつもりだが今日はいつもと様子が少し違った。
「お、おはようございます…///」
なにやらモジモジしているみたいた。
そこに和人がこれまた眠そうな目をこすりながら起きてきた。
直葉も和人に気づいたのかいつものように朝の挨拶を交わして席についた。
和人は今日は明日菜のお見舞いに行くようだ。
残念だが俺は他にやることがあるので同行はできない。
なので、代わりにレイを連れて行ってもらうことにした。
俺はユイとレイを外でもいつもいっしょにいられるように端末を作り外出するときはそこに入りいっしょに行くシステムだ。
しかもレイとユイの姿はホログラムで生成され、丁度ALOのピクシーくらいの大きさで現実世界に姿を出すことができる。
レイたちはそこから無線でインターネットに接続も可能だし情報を得ることも可能だ。
俺は端末を和人に渡し朝食の後片付けをして、部屋に戻った。
直葉は家に残るそうだ。
そこも原作とは少し違うがまあ気にもとめずに俺は部屋に向かった。
俺がするのはグランドクエストで管理者権限のないと入れないところにはいるための偽造IDを作っている。
それも、予定より早く終わってしまい部屋を出ようとしたらスグと会った。
何かを言いたげにこちらを見ているので俺は思わず声をかけることにした。
「どうした?朝食のときもなにか言いたげだったけど……」
直葉は何か決心したような顔つきになり一つの頼みごとをしてきた。
「あ、あの!買い物に付き合ってくれません?!」
バッと頭を下げられてしまい、俺は戸惑ったが買い物くらいと思い付き合うことにした。
30分後にリビングにということで俺は用意をはじめた。
〜〜〜30分後
リビングにはオシャレをしてしっかりとした格好に身をつつんだ直葉がいた。
あまりのかわいさに一瞬言葉を失ったが、直葉がかっこいいと言った一言で我に帰り、俺も直葉の服をかわいいと素直に褒めた。
俺たちは所沢から電車を乗り継ぎ渋谷にやってきた。
さすが、女の子だけあって買い物は私服だ。
来年から高校生になるので心機一転して改めたいらしい。
この街に来るのはこの世界に来てからは初めてだが、前世と対して変わっていないのに若干の安心を覚えた。
早速、直葉に手を握られあちこちの服を見に連れて行かれた。
直葉SIDE
私は今とても緊張している。
なぜなら、憧れの人を外出に誘おうとしているのだがら。
そうその憧れの人というのはSAO事件の後桐ヶ谷家にやってきた従兄弟の彩斗さんだ。
クールで、家事全般なんでも器用にこなしその上頭もいい。
まさに憧れというのに相応しい人物だ。
その人を誘うのだ。
本当は好きなんだろうけど、それは叶わない恋であることは知っている。
偶然にも聞いてしまったのだ。
電話で明日葉なる女性と親しげに話す彩斗さんを。
それでも、せめて従兄弟としていっしょに居たくて、叶わない恋ならば憧れのままで居て欲しくて。
私は今日は誘おうと思うのだ。
そして朝、いつものようにキッチンで朝食を作っている彼に挨拶をし、勇気をだして誘おうする、
しかし、お兄ちゃんが起きてきてしまいそれも空振りしてしまう。
朝食のあと、お兄ちゃんは病院にお見舞いに行くといい、彼はやることがあるので部屋にこもってしまった。
自分の勇気のなさを恨みつつ道場に行き汗を流すことにした。
1時間ほどして、勇気を振り絞りもう一度誘おうと彼の部屋に向かった。
丁度、彼も部屋から出てきて鉢合わせになってしまった。
急な展開にテンパってしまっている私に彼が声をかけてくれた。
「どうした?朝食のときもなにか言いたげだったけど……」
彼の言葉に誘導されるよう私はお願いをした。
「あ、あの!買い物に付き合ってくれませんか?!」
途端に顔が火を吹くように真っ赤になったのが自分でも分かり、恥ずかしさのあまり頭を下げて隠してしまった。
彼は当然驚いているようだ。
まあ、無理もない。
いきなりだから………
間があき、断られるかもと思った瞬間に彼がオッケーをくれたのだ。
嬉しさのあまり、では30分後と言い残して部屋に戻ってしまった。
部屋にもどりまさかオッケーがもらえると思ってなかった私は5分ほど精神が彼方に飛んでしまったが、時計の音で意識がもどりあと15分しかないのに気づき慌てて用意をしたのである。
リビングで見た彩斗の私服、それはまさに執事とでも言うべき格好だった。
黒のパンツに白いシャツ。そこに赤と黒の線が螺旋状に描かれたネクタイをしめ。ベストを来てさらにジャケットを着ている。
そして、赤のダッフルコートにファーがつきまさにオシャレな男の人というのが一目で見て取れた。
思わず、かっこいい!と口にしてしまいハッとなった。
しかし、彼も私の着ている服をかわいいと褒めてくれた。
それだけでも、満足だ。
そして、私たちは渋谷目指して家を出発した。