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リーファに事情を説明した後、回収した3本の剣をそれぞれの主に返した。
キリトとリーファを連れ立って、ゲート守護像前の広場に着陸すると、見知った人影がこちらに駆け寄ってくるのが見える。
ーーあぁ、そう言えば彼も……
リーファの隣に立つ俺たちをを見て表情を目まぐるしく変えた彼は最終的に首を傾げた。
「えーと……ど、どうなってるの?」
レコンの問いに、リーファはにっこりと笑いかけながら答える。
「世界樹を攻略するのよ。
サイトくんと、キリトくんと、あんたと、あたしの4人で。」
「そ、そう……って……ええ!?」
2人のやり取りに苦笑しながらも、眼前の巨大な石扉を見上げた。
すると、キリトが何かを思いついたように、顔を見合わせる。
「ユイ、いるか?」
その言葉が終わらないうちに、中空に光の粒が凝集し、ユイが姿を現した。
ユイは両手をがっしと腰に当て、憤慨したように唇を尖らしている。
「もー、遅いです!」
あれ?
俺はそこで、不思議に思った。
レイが、いない………
「な、なあ、レイはどこに行ったんだ?」
ユイに聞いてみるとキリトと顔を見合わせてニヤっと笑って、ここにもうすぐ来ますよっと言われた。
どういうことなのかさっぱり分からないので、俺はしょうがないので待つことにした。
すると、後ろから声が聞こえてきた。
「おーい!」
その声の主は空からここに向けて飛んできているみたいだ。
見た目はウンディーネの女性のようだ。
はて?ウンディーネの知り合いなんかいたっけ?
なんて思っているうちにそのウンディーネはここに着地した。
そこで、俺は驚愕した。
なんと、その人の肩にレイが乗っているからだ。
「レ、レイ…お前この人と知り合い、なのか?」
レイはクスクスと笑いながら、そのウンディーネと顔を見合わせている。
「パ、パパ、この人が誰か分からないんですか?」
必死に笑いをこらえるように聞かれて、俺は戸惑いながらも考えた。
しかし、答えるより先にその女性が笑いを堪えきれなくなり話し始めた。
「…ふ、ふふ、ふふふ……もう、だめ、サイト君、私だよ。」
「へぇ?
も、もしかして、アスハ!?」
俺は心底驚いた。
そう目の前にいるのは俺の大切な人。
そして、今は病院で入院しているはずで、ここにいるわけないのに。
「そうだよ。私だよ。」
そう言って彼女は俺に抱きついて来た。
そして、小声でさみしかった、とだけつぶやき俺の胸に顔をうずめた。
俺もアスハを抱きかえそうとおもったとこで周りに人がいるのを思い出し我に返った。
「ア、アスハ、いったいどうしてここに?!入院してるはずじゃないのか?!」
俺が質問すると、一歩下がって説明した。
「実は、昨日和人さんたちがお見舞いに来てくれた時にレイちゃんも一緒だったでしょ?
その時にレイちゃんにお姉ちゃんを助けるまでどのくらいか聞いたら明日にも救出を始めるとか聞いて私も、なにか協力したくてここに来たの。」
「そ、そうなのか……で、でも一言くらい言ってくれれば……」
と言うと、アスハはいたずらっぽく微笑み言った。
「だって、サイト君驚かせたかったの。だから、その、ごめん、ね?」
なんて、甘えた声+上目遣いで言われてしまえば何も言えなくなってしまう。
「け、けど、アルンまではどうやって?かなりの距離だぞ?ステータスはいいとしても……」
俺がもっともな疑問をすると、それに答えてくれた。
「ああ、それならレイちゃんにお願いしいてこの街の入り口からゲームが始まるようにしてもらったの。そしてレイちゃんに道案内してもらってここまで来たのよ。」
「なるほど…どうりで昨日レイが俺の端末にいない訳だ。
アスハの方の端末に行ってたのか……」
「はい。ママにお願いされまして。パパ、心配かけてごめんなさい。」
レイもその小さな体でぺこり謝るのでそれまでにした。
「気にしないでいい。そうかアスハ、寂しい思いさせてごめんな。」
俺は、そっと彼女を抱き寄せた。
「うん、いいの……これからはいっしょ、だよ?」
「ああ。」
2人で甘いオーラを出していると外野からの声が飛んで来た。
「あの〜もしもし??お取り込み中のところ申し訳ないけど……
そろそろいいか?」
キリトがジト目で文句を言うのでそれまでにし、切り替えるように言った。
「さて、ここからだが、もう一度あれに挑む。敵の数ははっきりいって異常だ。
何人も突破することはできないだろう……多分1人が限界だ。
だからそれを俺はキリトに託そうと思う。みんなもそれでいいか?」
俺の言葉に全員はうんと首を縦に振り意識を集中させた。
「では、いくぞ!」
俺の掛け声と共に全員が大扉をくぐった。