クリスマスの奇跡3
………まずい、強すぎる。
リーダー格のスノーウルフはHPが7割になると、頭が二つになり、素早くなった。
フィールドダンジョンであるこのエリアでは洞窟などと違い動きやすい。
それはモンスターにとっても同じだった………
相手は雪になれた獣で動きに無駄がなく、早い。
一方のサイトたちは人間のためそうはいかない。圧倒的に状況が不利だ。加えてこの悪天候。
「くっ、動き回って撹乱しているぞ。背中合わせになるんだ。」
「せ、背中合わせって///」
「そうしなければ、背後から襲われたらお終いだ。死角をなくすぞ」
そう言って2人は背中合わせになり、周囲に警戒した。
サイトの作戦が功を奏したのか、スノーウルフはアスハの背後すなわちサイトの正面から襲ってきた。
サイトは闘鬼神の峰でスノーウルフを右に払いのける。
「動きが止まった。今だ!」
サイトの声とともにアスハは走りだし長剣=紅椿で切りつけた。
紅椿は片刃で日本刀に近い感じだが流れるような動きで、スノーウルフに攻撃している。
サイトも遅れを取らぬスピードで闘鬼神を振るっていた。
体制を立て直したスノーウルフは絶叫の雄叫びと共に右足の鋭利な爪でひっかこうとしてきた。
サイトはそれをうまく爪の部分に闘鬼神の刃を当てて弾き返した。
弾かれた衝撃で体が硬直した、スノーウルフはサイトとアスハの猛攻に耐えかねて、ついにポリゴン
の破片にかわり砕け散った。
すると、さっきまでの悪天候が嘘のように晴れて、その先にスノーウルフたちの巣らしきものがあり、その奥にサンタがいた。
2人のドロップアイテムはサイトが
大妖の牙
魔獣の皮
魔獣の爪
雪狼の尻尾
アスハは
魔獣の爪
魔獣の皮
魔獣の牙
どうやら大妖の牙ラストアタックボーナスのようだ………
2人はサンタを救出用の回廊結晶をかざし依頼主の元に転送した。
そして、自分達も回廊結晶を使い街に戻ったのであった。
その後依頼主である、トナカイ話しかけクエスト報酬を貰った。
報酬は50万コルと雪をイメージしたのか白を基調とした家具一式だ。
2人は報酬を受け取って宿に戻ることにしたのであった。
部屋に戻り新聞を読むとアスハが突然
「あああああーーー!」
と鼓膜が破れそうなるほど絶叫をあげたのだ。
「な、なんだよいったい……?」
突然の絶叫にサイトは顔をしかめながらアスハに尋ねた。
「ご、ごめんね。で、でもこれ見て。」
「ったく、なんだよいったい?
ってえええーーーーー⁈
こ、この人、ア、アスハ、そっくりじゃん?!」
「そっくりじゃないわよ!だって私のお姉ちゃんよ!」
「へぇーーアスハってお姉さんいるんだ。」
「で、でもどうして今まで気づかなかったんだ?」
「私だってわからないわよ!と、とにかく明日会いに行ってくるわ」
「場所は……血盟騎士団にいるみたいだな。んじゃ、俺明日は1人でダンジョンにいくことにするか」
とサイトが言い終えるや否や
「サ、サイト君もいっしょに来て///?」
「で、でもせっかくの姉妹の再開を邪魔しちゃ悪いし………」
「い、いいの///サイト君こともお姉ちゃんにちゃんと紹介したいし///」
「そ、そうか?なら俺も一緒に同行させてもらうとしようかな。」
そして、明日はアスハ姉であるアスナと会うことになったのである。
ベットに入りサイトはふと思った。
((本当のサンタさんからのプレゼントってのは姉のことだったのかもな……まあクリスマスの奇跡ってやつだな。))
よかったなアスハ大切な家族に会えるんだな……
俺にはそういうのは…………おっとおしゃべりがすぎたな……
ふっと自嘲するよう笑い眠りついたのであった………