小説『二杯目のミントティーは誰のため?』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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「何で今戻って来ちゃったの…これからって時に…」
「え?ごめん…」
申し訳なさそうにしている青田に対し、来井は露骨に残念そうな顔をしていた。
「なんだっけな…お前みたいな奴何かの小説に出てたぞ…あ、思い出した!『人間失格』だ!特徴の無い顔で思い出してもスッキリしない…むしろイライラする。みたいなw」
「うう…酷い…」
「とにかく。動かないことには…そうだね。じゃあ班を作ろうか。事情聴取班と証拠捜査班。どっちがいいか手上げてね。それじゃ…事情聴取班!」
そう言うと、来井は元気よく手を上げた。そして他に手を上げたのは…私以外、全員だった。
「おいおい…こんな時にジョークはよしてくれよwアメリカではありえないぜ?」
訳の分からないジョークを言っている来井はウケてないことに気づくと、そそくさと班を適当に分けた。その顔はほんのりと赤かった。おそらく恥ずかしかったのだろう。ざまあみろ。
「…馬鹿茂芽が。」
「だから何で人の心を読むのよ!」
「だから俺作者なんだよ!もういいよ!とりあえず班分けるよ!事情聴取班は俺、花茂芽、神威、大場。証拠捜査班は正治、青田、井原。以上だ。異論のある物は挙手せよ。まあ受け付けませんけどね!w」
「はいは〜い!異議あり!」
正治が声高らかに叫んだ。
「却下。」
「異議あり!」
「却下。」
「異議あり!」
「却下。」
「異議あり!」
「ああもう!なんだよ…」
「何で邪魔を俺に押し付けた?」
「邪魔とか言うなよ!俺の友人と…あれだぜ?」
「あれっていう方が失礼だろうが!でもこんなの…」
「でも連絡は取り合えたほうがいいだろ?え?」
「まぁそれはそうだが…」
「はい、じゃあ決定!みんないくよ〜!」
一瞬の気の緩みを見逃さなかったように、来井は班を引き連れて行った。というより逃げた。…私も含めて。

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