小説『二杯目のミントティーは誰のため?』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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―新郎・新婦控え室 花茂芽―
なんだかんだで連れてこられた私たちは結婚式場の新郎・新婦の控え室にいた。そこに居たのは…顔がしわくちゃの老爺と、お手玉の乗った玉ねぎのような頭をした老婆だった。
「どうも、お時間をとらせて申し訳ないですwこれらは私の知り合いですから、怪しまないでやってくださいw特にこの女なんか怖そうでしょ?ここだけの話、俺学校でこいつにこてんぱんにされてて…」
そこまで来井が言った時だった。正しく、その瞬間。神威の右手が綺麗に来井の右頬をとらえ、その先にぶっ飛んだ来井は神威の手によってボッコボコにされていた。ざまあみろ。
…だがここで時間を無意味に過ごすのももったいないので、私は老爺と老婆に話しかけた。
「あの…私、探偵の染月 花茂芽と申します。お二人の名前は…」
「はぁ?」
老婆はニコニコしたまま右耳に手を当て、聞き返してきた。老爺に至ってはニコニコしたまま…揺れている。
「あなたたちの、お名前は?」
「ああ、名前ですね。私、真句 椿(しんく つばき)申します。ほらじーさん。名前ですって。」
「はぁ?」
…老爺もニコニコしたまま耳に手を当て、椿に聞き返していた。
「じーさん。名前。」
「あたしゃ自分の名前ぐらい覚えてるよ。」
「そうじゃ無くて、自己紹介。」
「はぁ?」
「じーさん。自己紹介。」
「ああ、そうかい。あたしゃ真句 細男(しんく さざお)申します。」
「はぁ…そうですか。」
「ところで、あんた。名前は?」
逆に老爺が質問してきた。さっき言ったばかりなのだが…
「私は染月 花茂芽と申します。」
「はぁ?」
「そ・め・づ・き・か・も・め です!」
「ああ花茂芽さんね…はいはい…」
なんというか…微笑ましいのだがだんだんイライラしてきた。
そこで私は軽い話からと思っていたのだが、単刀直入に聞くことにした。
「あの…あなたたちはどういった方なのでしょうか?」
「はぁ?」
「あなたたちはどういう方なのですか?」
「ああ、私達は夫婦なんですよ。結婚歴五十…」
「いや、そういうことじゃなくてですね。ここで何をされてたのか?と…」
「はぁ?」
「何をされてたんですか!」
「ああ、私達はここの責任者ですわい。」

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