小説『二杯目のミントティーは誰のため?』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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―パーティー会場 花茂芽―
容疑者が3人も浮上してしまった。しかもその人物はすべて私の知人。
だが、そんなことを考えていても仕方がない。
「…神威さん。嘘は吐いてないのね?」
「もちろんです!俺が嘘吐いて師匠が逮捕されたりなんかしたら…」
「でもそれが本当だったら逮捕されるのは大場…」
余計なことを言おうとした来井は、笑顔を一切崩そうとしない神威によって滅ぼされた。
何度このくだりを見ただろう。だが私の心に浮かぶ言葉はいつも一緒だった。
ざまあみろ。
「大場君、あなたの言ってることも本当なのね?」
「うん、当たり前じゃんw」
「よし…じゃ、容疑者は一人になったね。」
「…俺?」
来井はようやく立ち上がり、自分を指さして聞いてきた。
「自分で言ったんじゃない。仕方ないでしょ?」
「いらんことを言うんじゃなかった…」
「…本当に?」
「嘘だよw」
来井が笑顔で返した。
「…神威さん。」
「おっけー花茂芽さん!まかしといて!」
神威は来井を葬ろうとしたが、今度は来井の手にあたり、すべて受け止められた。
「…おとなしく受けろよ。」
「ふざけるなよw痛いだろうがw」
…次にするべき行動は…
この矛盾を解くべきか。
「神威さん。お取り込み中申し訳ないんだけど…」
「あ、なんですか?」
神威は手を引き、来井は何とか助かった。
「神威さんが見たのって大場君だけ?」
「いや、そうでもないかな。めっちゃ綺麗な女の人といかついおっさんがおったで!多分歌い手さんやったか…」
「…その人たちちゃんと顔覚えてる?」
「うん。で、探すの?」
「そうね。とりあえずそうしましょう。大場君も行こうか。」
「おう。」
「…俺は?」
「…ま、ついてきて。容疑者一号君?」
「酷いな…」
私たちは会場を出た。その二人組を探しに。

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