小説『二杯目のミントティーは誰のため?』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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「あなたが事件の目撃者だと…」
「どこか座る場所ないかな〜…足が痛いよ…」
私がそう質問しようとしたが、彼女には通じていないようだ。
青葉はまわりをきょろきょろしながら座るところを探していた。
「移動…しましょうか?」
「どこへ?近くがいいなぁ…」
「では…パーティー会場に。」
「OK〜…ああ疲れた〜…」
青葉は先にフラフラと会場へ向かって行ってしまった。
「…じゃあ行こうか?」
正治も彼女のキャラクターについていけてないのか、呆れたような困ったような顔をしていた。
「そうね。」
私たちも、青葉の後を追いかけるように会場へと向かった。

―パーティー会場 花茂芽―
何度もここに足を運んでいるうちにだんだん珍しさが失せていった。今ではもう飽きてきている。
会場に着くや否や、来井は円卓上にある自分のティーカップをとり今日何度目かわからないティータイムをまた始めていた。
「あんた…何やってんのよ。」
「ティータイム。」
「…そう。」
私はあえて深く追求するのをやめた。面倒なことになるのがオチだろう。
来井は一人で一つの円卓に。そしてこの円卓には私、正治、大場、神威、青田、青芝、青葉がすわっていた。
「…それでは、話を始めてもよろしいですか?」
「ふぇ?ふぁあ…んぐ。どうぞ。」
青葉は口いっぱいに頬張ったお菓子を一気に飲み込んだ。
「あなたは事件の元容疑者…青田を見たのですね?」
「うん、そうだね。」
「何故彼を疑ったのでしょう?」
「だって…私は気絶した男の子を運んでる青田君を見たから、男が殺されたなんて聞いて…勘違いしちゃったの。ごめんね、青田君w」
「ああ、…いえ。」
青田は軽くかわした謝罪は、決して心のこもったものではなかった。それは依然ニコニコしている青葉の顔を見れば明らかだ。
「そのほかに何か事件に関係するようなことは…」
「そうだねぇ…そういや、大場君とそこの…女の子?を見たよ?」
「…www俺、神威って言いますw一応…女です…www」
何が面白かったのか、神威はずっと笑ったまま自己紹介をした。
「彼らをどこで?」
「まず私がトイレを出るときに大場君を。で、少し歩いてると私を追い越すように歩いていく帽子をかぶった神威さんを見たよ。」
「そうですか…青田君が見た神威さんと同じかな?」
私は質問する相手を青田に変えた。彼は少し考えた後にうなずいた。
「…そうですか…ありがとうございました。一応聞いておきますが、青芝さんは…何もご存じない?」
「ああ、俺は何もしらねぇな。青葉がトイレに行って、そのあと事件発生を聞かされてその時に再会したんだ。何もしらねぇよ。」
「そうですか…お時間取らせて申し訳ありませんでした。どうぞ、おくつろぎくださいませ。」
私は彼らを解放し、正治を手招きで呼んだ。
「…なんだ?」
「こっちが聞きたいわよ!何よこの矛盾は…」
私は心の中にあるわかだまりを解消するように叫んだ。

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