小説『二杯目のミントティーは誰のため?』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

「白樺…空輪…?誰のこと…?」
青葉は動揺しながらも反論してきた。まずその反応が何よりの証拠なのだが…
「白樺空輪ちゃん。10年前の9月12日、当時12才だったあんたの家庭はとても普通では無かった。籠子と洸羅の間に生まれたのは双子…おそらくあんたともう一人の兄弟だったんじゃないか?だがお前はすぐ独りになった、なぜなら…」
「…やめて!もう…その話は…」
青葉は俺の話を止めようとした。だが…
「いやwそうはいかないんだよ。正直に話さなかったお前が悪い。いいか?お前はすぐ独りになった。なぜなら…」
俺は青葉に近寄り、彼女の腕をおおっている長袖をめくった。
「…やっぱりな。そういうことか。どうしたんだ?この一生傷。しかも多いよね…」
「…」
青葉は他所を向きながら、黙っている。
「お前の家庭…白樺家では家庭内暴力があった。しかもそのせいで一人死んでいる。お前の兄弟…それは正に不幸だったはずだ。」
「…やめて…」
「しかしその悲劇は一人死んだだけでは収まらなかった。まだ一人、対象は残っている。じゃあお前はどうすればよかったのか?」
「…やめて」
「あとはもう殺すしか無かった。相手は親…ではない。憎き殺人者。自分の兄弟を殺した殺人者。その日もお前は暴力を受けていた。」
「やめて!!!」
「お前は下剤を盛られたんだ!それが引き金となり両親を殺した!!そこからお前の殺人劇は始まったんだ!!!」
…場には一瞬の沈黙が流れた。
「…何か言い返す言葉は?」
「………」
その沈黙は一瞬では止まらず数分間続いた。

-48-
Copyright ©狂ピエロ All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える