「…あれは…本当に悲劇だった。私の…私の大切な妹が死んじゃったのよ?私はそれでも耐えてた。でもあいつらの暴力は日に日に過激になっていって、私にナイフを突きつけたことだってあったの。もうこんな生活…って思ったこともいっぱいあったわ。でも…私じゃない!私は誰も殺してない…」
「じゃあ…認めるんだな?お前は…白樺空輪だと。」
青葉…いや、白樺は下を向いたまま軽く頷いた。
「…だがお前は誰も殺してない。本当だろうな?」
「それは、本当よ。私は今まで誰も殺しちゃいない。」
殺人については認めない…か。だが証拠は、今までの証言はコイツを指し示している。おそらく12年前のことについてもまだ隠していることがあるのだろう。そこから話を突き詰めるか…
「じゃあ聞かせてくれるか?12年前の事件後の行動について。」
「え…」
「何も嫌がる事はないはずだろ?まぁ思い出したくないのもあるだろうが…お前が殺してなければ俺は死ぬ。そのリスクに比べれば軽いよね?」
「…そう…だね。話すよ。あの時の私について。」
そう言いながら前を向いた白樺の顔は、大きな闇に満ちていた。