小説『二杯目のミントティーは誰のため?』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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―裁きの剣 来井―
…コイツの話には明らかに不自然な点が一つある。だがそれが意味するものは…
「どうしたのよ?反論はないの?」
今は時間がない。思ったままに意見を発しなければ!
「…お前は両親に怯え、逃げ出すことを決心したんだな?」
「ええ、そうよ。一刻も早く逃げ出したかった。」
「そんなに急ぎながら、良く点滴を綺麗に抜けたね?」
「…なんのことよ?」
「点滴は下手に抜くと血が吹き出るんだ。いくら入院したことあるとはいえ、素人には不可能だ。それをナースは『満面の笑みを浮かべて』お前を見ていたのか?」
「…で?」
…やはりこう来るか。何となく予想は出来ていた。だがこうするしかなかったのだ。
「その点滴、何が問題なのよ?私は死ななかった。多分私の記憶違いでしょう。」
ここは…ハッタリをかけるか…
「お前はとにかく逃げたかった。それは両親に対する恐怖、その恐怖…」
「もういいじゃない。そんなハッタリ無意味よ。」
白樺に言葉を遮られてしまった。…ん?遮った?別にこの話を続けてもヤツに損は…

あるのか?もう一回思い出せ…
『お前はとにかく逃げたかった。それは両親に対する恐怖、その恐怖…』
両親に対する恐怖…
…!そういうことか!こいつは…
「もういいでしょ?あなたは間違った。私は犯人ではない。よって死ぬのは…」
「まぁそう焦るなって。チェックメイトにはまだ早すぎる。もう少し楽しもうよw」
どうでもいいあの証言は、全体に関与する大切な一文だったのだ!

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