小説『二杯目のミントティーは誰のため?』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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「そもそも今回の事件で一番キーになったのは、存在するはずのない4人の存在だ。まずは二人。神威、大場の存在はあり得ないんだよ。二人とも会っていない人物に会っていると言われた。これはどういうことだろうね?」
「…何のことかさっぱりね。」
白樺は何も知らないと無言で訴えるようによそを向き、しらを切った。
「この二人、お前が仕組んだからくりなんだろ?…ていうか、お前がこの二人になりすましたんだろ?」
「…!!」
「二人が来ていた服は当然あの一着しかないものではない。店を探せばいくつでもある。あいつらになりすますにはそれだけで良かった。」
「でも待って。私が聞いた話だと二人は会話もしているわ。そんなので、私ってよくわからなかったものね。」
…ここが攻め時だ。俺は白樺に人差し指を突き付けた。
「お前、両声類だろ?…多声類っていう可能性は?」
「…」
ひとまずチェックか。俺は指を下げ、大きなため息をついた。
「図星か…ま、動画見てたらすぐわかるしねw」
「で、私がその衣装をどう手に入れたって言うの?神威さんと大場君がいるなんて知らないわ。」
チェックは免れた…か。だがまだ甘い。一気にたたみかける…!
「本当にそうかな?」
「…何よ。」
「ここで登場するのが真句夫妻だ。お前はこの二人にも化けた。」
「どう化けるっていうの。あなたたちがいたならその時に気づくでしょ?」
「それは隠れて操作すれば大丈夫だ。隠れるところはいっぱいあったはず。さらに言えばお前は人形についていたテグスのお前の方に紙コップか何かを付け、糸電話の原理でしゃべったんだ。違うか?」
…またチェック…か。さ、これを逃げることはできるのか…
俺はいつの間にか、このゲームを楽しんでいたようだ。いつもはない、黒い笑みが俺の顔を埋め尽くしていた。

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