小説『二杯目のミントティーは誰のため?』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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「最後に一つ確認なんだが…お前、真句夫妻について何を知っている?」
俺は単刀直入に尋ねたが、白樺は顔色ひとつ変えず…いや、むしろ笑っていた。
「何も。」
「そうか…よし。じゃあ…一気にチェックメイトと行こうか。」
「…無駄よ。証拠はない、その状態で私を倒そうなんて甘いわ。」
「そうだ。確かに証拠は『無かった』。」
「…無かった?何で過去形なのよ?」
いまいち意味の分かっていない白樺に、俺は胸ポケットから取り出したボイスレコーダーを見せた。
「今、証拠を得たからね。」
「は?意味わかんないだけど。」
「お前の今の話、おかしなところがいっぱいあったのに気付かなかった?お前が事件とは無関係ならばありえない話。」
「…思い違いじゃない?」
「さぁ?やってみないとわからない。さ、まずは…ルーク・ビショップからだ。」
俺はボイスレコーダーでさっきの話を再生した。
『…フン、ようやく分かったようね。私にはこの犯行は無理なの。真句夫妻に化けるのは不可能、そして毒を手に入れることもね。そもそもあの狭い控え室に隠れることができないってわからなかった?』
「…普通の話よね?」
「さあ?お前の話、やけに詳しいね?」
「詳しくないとどうせ疑われるんでしょ?」
「…フフ、皮肉な話だ。疑われぬようにと詳しくすれば、それがもとに追い詰められる…お前がそんな話できるわけないんだ。控え室には俺と俺の友人…あとは真句夫妻と井原以外入っていない。お前は何故部屋の状況を知っている?さらに言えば、亜ヒ素とは誰も言っていない。ただ毒と言っただけなのに何故農薬に含まれる毒とまで分かったんだ?」
「…!…控え室には…前に行ったことがあるわ。それに、毒の事は…そうよ!ニュースで見たの。poison factoryは亜ヒ素を使うって。」
「見苦しい嘘だ。もう終わりでいいよね?控え室は新郎新婦の事を考えて二人とその家族と職員以外の立ち入りを禁止している。すなわち結婚等していないお前が控え室に入れたはずがないんだ!」
「…!!」
まずはビショップ。次はルーク…!
「さらに言えば、そんなニュースは報道されるハズがない。なぜなら毒の種類までは特定されていないからだ。確かに今回は亜ヒ素で殺害された。過去にもそんなことはあるが…青酸カリとか色んな毒の混合物とかで殺されたケースもあった。なのに、亜ヒ素だけ知っているのは余りにも不自然!」
「…!!!」
ルークまでつかめた…あとは、クイーンとキングさえ倒せれば…

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