小説『とあるバカとテストと超電磁砲 文月学園物語』
作者:御坂 秀吉()

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バカとクラスと召喚戦争 〜秀吉・・・ちょっとお話があるんだけど・・・〜





えーと、ここはどこだ?てかこの状態、まえもあったような・・・

『諸君、ここはどこだ?』
「「「最後の審判を下す法廷だ!」」」
『異端者には?』
「「「死の鉄槌を!」」
『男とは?』
「「「愛を捨て、哀に生きる者!」」」
宜しい。これより…異端審問会を始める 。
罪状を読みあげたまえ

ちょっと待て、確かにどこか知りたいけど、そういうことじゃないし、まず、短期間で2回目ってまさか明久以上にかかってる?

「ハッ、被告人、大濱元輝(以後この者を元とする)は、Aクラス、木下優子(以後この者を優とする)を自分の家に連れ込み、強制わいせつ行為を行ったと『簡単に述べたまえ』」
「大濱がAクラスの木下さんを自分の家に泊めていることがいらだつのであります!」
『判決、死刑』

「ちょっと待って!今の話違うところが!」

『だまれ!お前に話す権限はない』

「いや、だから泊まってるのは、優子じゃなくて秀吉であって・・・ハッ!!」

『諸君、自白を聞いたかね』

「「「大濱は船越先生の刑だ」」」

一番リアルなのキター

『貴様には我らが受けた痛みを味わってもらう』

船越先生はさすがにおれもどうしようもない

『・・・・私だ。今すぐ例の放送を流せ』

(まずいここは抜き出さないと)

元輝が煙幕を投げようとした瞬間

シュッ

(カ、カッター!?)

『ピンポンパンポン  船越先生、船越先生、Fクラスの大濱元輝君が、船越先生と生徒と教師の関係を超えた恋愛について大事なことを話したいそうです。ご迷惑をおかけしますが、2−F教室までお越しください。』

(は、はは、はははは・・・)


すると、

ガラ   ドアが開いた

「「「来た!!」」」





「・・・授業を始めますが、まずは大濱君の縄をほどいてあげてください。
ついでに、船越先生は今日は欠勤です。」
布施先生だった。

た、たすかったー

しかし、教室にはあらゆるところから舌打ちが聞こえる。
(そこらのヤクザより怖いんですけど・・・)




朝から不幸が連発している

簡単な流れを言うと、

起きる→ソファーの上から落ちる→秀吉も起きる→一緒にランニング&発声練習→誰かが木の枝を投げてくる→朝食のパンが1枚しかなく、秀吉に譲る→学校に行く→途中でエアガンを撃たれる→木下優子につかまる→全身の関節が外れ気絶した→異端審問会にかけられた→あやうく船越先生につかまるところだった→今


なんて不幸な一日なんだろうか・・・ていうか木の枝とエアガンで気づくべきだったな・・・






放課後

(図書室でもよるか)

久しぶりに図書室をのぞいてみた。すると・・・小山友香がいた
「あら・・・大濱君かしら。いろいろ私の彼にしてくれてありがとう」
「あ・・・ど、どうも」
小山と根本は付き合ってる
「何かしら?文句あるなら言いなさいよ」
いや、正直に言うと、どうなるかが心配なんですけど・・・
「正直に言いなさい」
「なんで根本なんかと付き合ってるんですか!!」
言ってしまった。

あまりに正直すぎたのか、小山も顔を赤らめていた

「・・・彼は、初めて私を助けてくれたの」
「へっ?」
思わず元輝は聞き返してしまった
「無理もないわ。あいつ昔から悪い奴だったんだけどね、私が小学校3年の時、交通事故に巻き込まれかけたの。しかもそれが西多摩市ひき逃げ事件だったんだけどね・・・」




西多摩市連続ひき逃げ事件とはこっちの世界で起きた事件らしい。
工藤新一みたいに事件ファイルを作っているので知っている。
内容は・・・神奈川県秦野市に住んでいる男性(36)が派遣会社をリストラされ、しかもそれを友達に笑われたことに腹を立て、次の日に車に乗ってその友達が住んでいる西多摩市に行き、その友達を殺そうとして車ごと歩道に乗り上げ周りのひと13人と友達をひき殺し、ガソリンにライターをつけ自殺したという事件。
車の爆発でもけが人がいて、相当な事件になったらしい。





「・・・それで車が私のほうにきてひかれる瞬間に彼が捨て身で助けてくれたの。
彼自身は『・・・いじめる相手がいなくなるからつまんねーだろ』とか言っていたけど、
たぶんその時から彼は私のことが好きなんじゃないかって。でも最近はホントに最悪なやつだから
別れようとは思ってるんだけどね・・・」


「『犯人を推理で追いつめて、みすみす自殺させちまう探偵は、殺人者とかわんねーよ・・・』
って言葉知ってるか?あるやつの言葉なんだけど、そうやって自分を追いつめて自分自身を心苦しくさせてちゃ意味ないんじゃないか?それは自分殺しの殺人者だぜ。探偵は推理で追いつめて自殺させちゃいけないのと同じ。
自分自身も追いつめないで、生きなきゃいけないんじゃないの?

『過去を振り返るよりも、未来を夢みるよりも、今この瞬間を見つめること』
これが大切なんじゃないか?まあお前しだいだ自分自身のしなきゃいけないことを考えな」



小山友香は涙目でこっちを見つめてる。
そしてなんていったかは知らないがなにかをしゃべっていた。

元輝は「じゃあ」というと、Fクラスのほうに戻っていった。



「・・・ありがとう、高校生探偵大濱新一君」


 








「ひーでーよーし、ちょっとお話があるんだけどぉ?」

若干怒り気味の優子がFクラスに来た。

「ど、どうしたのじゃ、あ、姉上」

「ちょっとお話があるんだけど、来てくれるかしら(ポキポキ)」

(さよなら・・・秀吉。朝に罰は受けたから俺は大丈夫だ・・・)







秀吉は死体となって学園長室前で発見された








ピロピロピロ

(携帯か)

元輝の携帯は音が小さかったので存在を忘れていた。
えっと受信ボックスは・・・

メール 35件

メッセージ
全受信メールのうち25件が『坂本雄二』からのメールですが、迷惑メールに登録しますか?

(あー機械からも迷惑がられてるぞ)

中を見たすると


1:本文 助けてくれ、なんか変なやつらが俺を縛ってる

2:本文 こいつらFクラスの奴らみたいだ。なんか知らんが助けてくれ

3:本文 真面目死ぬって。

4:本文 やばい、こいつら俺に東京タワーからとび降りろなんて言ってやがるぞ





25:本文 たすてけ


さよなら、雄二。いままで楽しかったよ・・・

で、ところであと10件はと・・・

1:吉井明久 本文 ねぇ、今度うち来ない?日本史を教えてほしんだ!

2:姫路瑞希 本文 あの・・・今度・・・料理・・・教えてくれませんか?

3:木下優子 本文 ちょっとお話があるんだけど

あ、朝、届いてる


4:須川亮 本文 きさま、そこを動くな

5:島田美波 本文 今度うちに勉強教えてくれる?特に国語を教えてほしんだけど

6:吉井明久 本文 あと、勉強終わったらゲームでもしようよ!

7:西村教諭 本文 放課後、手伝ってほしいことがある。補習室前に来てくれ。

8:木下秀吉 本文 昨日はとめてくれてありがとうなのじゃ。またよろしくなのじゃ

9:上条当麻 本文 あー、元輝?お前どうして超電磁砲使えるんだ?

10:小山友香 本文 さっきはありがとっ!おかげで根本のことは忘れられます!別れるの。
           本当にありがとね♪


さりげなく鉄人か!  






放課後

「ん?来たか。大濱、頼みがある」
「なんでしょう?」
「この書類に俺のサインをしてほしい」

と、渡されたのはなにやら怪しい書類50枚ほどだった。

「いや、僕、サインのマネは『怪盗キッドならできるよな?』・・・はい。やります。」

さすがにキッドのプライドをけなすわけにはいかない。

その50枚はほぼすべて・・・

「・・・Fクラス関連!?」
「そうだ。俺が今度福村先生と変わってFクラスの担任になるための書類と
Fクラスについての主な情報類の引き継ぎのための契約書といったところだ。
吉井にやらせたらまずいからな」
「いや、本当は僕もまずいかと」
「気にするな。あとでスポーツドリンクでもおごってやる」
「ありがとうございます」

二人は補習室で書類のサインを黙々としていた



「ほら、ポカリだ。」
「どうも」

スポーツドリンクがのどを潤す。おいしい

「それより、元輝、お前どうしてAクラスに行くのを拒んだんだ?」
「いえ、Fクラスのみんながいい奴なんで。も、もちろんAクラスもいいんですけど、その・・・」
「仲間から離れたくないと」
「・・・はい・・・」

鉄人にはなんでもお見通しのようだ。

「いいんじゃないか。」
「えっ?」
「あいつらは確かにバカだし騒々しいし、勉強のやる気がほぼないに等しい奴らだが、
あいつらは性格がいいんだ。俺はそういうところを伸ばしたいんだ・・・」
「に、西村先生、みんなのことをよく考えてるんですね」
「ば、バカ!そんなんじゃない。ただあいつらにはあいつらなりのいい所があるって言いたいだけだ。
ほら、もう遅いぞ。帰ったほうがいいんじゃないか?」
「は〜い!失礼しま〜す」

元輝は小走りで帰って行った。残された鉄人は少し笑っていた。





Fクラス教室にて。

「まずは皆に礼をいいたい。周りの連中に不可能だと言われていたにも関わらずここまでこれたのは、他でもない皆の協力があっての事だ。感謝している」
「ゆ、雄二、どうしたのさ。らしくないよ?」
「ああ、自分でもそう思う。だが、これは偽らざる俺の気持ちだ」
「でもまだ早いぞ? そういうのは、終わってから言うもんだ」
「ああ。ここまで来た以上、絶対にAクラスにも勝ちたい。勝って、生き残るには勉強すればいいってもんじゃないという現実を、教師どもに突き付けるんだ!!」

雄二の宣言で、Fクラス全員が歓声を上げた。

「おおーっ!」
「そうだーっ!」
「勉強だけじゃないんだーっ!」

Dクラス、Bクラス相手に勝利した自信が、彼らを奮起させていた。
全ては雄二のシナリオ通りに事が進んでいる事も、それを大いに助長させている。

「皆ありがとう。そして残るAクラス戦だが、これは一騎打ちで決着を付けたいと考えている」

主要メンバーは既に耳にしており驚きはしなかったが、他はざわめき始めた。

「どういう事だ?」
「誰と誰が一騎打ちするんだ?」
「それで本当に勝てるのか?」

当然、いきなりこんなことを言われれば、動揺するのも無理もない。
だが雄二はそれに構わず、机をたたいて皆を鎮める。

「落ち着いてくれ、それを今から説明する。やるのは当然、俺と翔子だ」
「バカの雄二が勝てる訳ない……」

ヒュッ! (カッターが投げられた音)
サッ! (カッターを明久がよける音)
グサッ! (カッターが壁に刺さる音)

「雄二、カッターなんて危ないもの、投げないでよ。」


「……まぁ、明久の言うとおりだ。まともにやり合えば勝ち目はないかもしれないが、それはDクラス戦もBクラス戦も同じだっただろう? まともにやり合えば、俺たちに勝ち目はなかった。今回だって同じだ。俺は翔子に勝ち、FクラスはAクラスを手に入れる。俺達の勝ちは揺るがない……俺を信じて任せてくれ。過去に神童とまで言われた力を、今皆に見せてやる!」

「「「おおおぉーーーーーっ!!」」」

「ねぇ、僕だけ無視?」

信頼の証として、全員が雄たけびを上げた。

「さて、具体的なやり方だが……一騎打ちは、フィールドを限定するつもりだ」
「フィールド? 何の教科でやるつもりじゃ?」
「日本史だ。ただし、内容は小学生程度、方式は100点満点の上限あり。召喚獣勝負ではなく、純粋な点数勝負とする」

試験召喚戦争は、テストの点で雌雄を決する物である。
だからこそ、テストの点を用いた勝負であれば、方法次第では採用される。

「でも同点だったら、きっと延長戦だよ? そうなったら問題のレベルも上げられちゃうだろうし、ブランクのある雄二には厳しくない?」
「おいおい、あまり俺を舐めるなよ? 幾らなんでも、そこまで運に頼り切ったやり方を作戦などというものか」
「じゃあ、この作戦のからくりは一体何なんだ? もったいぶってないで教えろよ」
「それもそうだな。それはある問題が出れば、アイツは確実に間違えると知っているからだ」

確実に間違える問題。
それを聞いて、全員が静まった。

「その問題は……“大化の改新”!」
「大化の改新? 誰が何をやったみたいな問題、小学生でやったか?」
「いや、そんな掘り下げた問題じゃない。単純に年号を問う問題だ、その問題が出たら俺達の勝ちだ」
「なんで?別に霧島さんが間違えるような問題じゃないよ」
「確かにこれくらい明久でもわかるだろうが・・・」

明久は、それを聞いて顔をそむけていた。

「だが、翔子は“無事故の改新 625年”と間違える! これは確実だ、だからその問題が出たら俺達の勝ちだ! はれてこの教室とはおさらばだって寸法だ!」

そこまで断言するあたり、信用する価値はある。
そう結論付けるには、十分な自信を持つ雄二の姿だった。

「あの、坂本君?」
「ん? なんだ、姫路」
「霧島さんとは、仲が良いんですか?」

それを聞いて、明久は訝しげに雄二を見た。
姫路瑞希にも好かれていて(明久視点)、学年首席の霧島翔子とも良い関係かもしれない。
それを彼が許せるかは……

「ああっ。俺と翔子は“幼馴染”だ」

答えは“No”である。

「総員、狙えええ!!」

その言葉に明久は激高し、号令を上げた。
それを受けてクラスメイト達は、カッターやスタンガンを準備して雄二に向けて構え始める。

「なっ!? 何故明久の号令で急に構える!?」
「黙れ男の敵! Aクラスの前に貴様を殺す!!」
「俺が何をしたと!?」
『我等の使命とは?』
「「「学園の平和の維持だ!」」」
「い、異端審問会!?」

「すまない、坂本。お前の役割は、きちんと俺がする」
「別れの言葉をいうくらいなら、俺を助けろ!!」

「ごめん雄二、でも学園の平和の維持には君を抹殺するしかないんだ!」
「やめろ、一瞬どっかの青春アニメと見間違えたぞ!」

「そっそれより、明久だって姫路瑞希と幼馴染だろ!?」
「ちょっ、それは今関係ないよね!」

級友が彼にも殺意を向け、半分が明久にもカッターを構えた。

「違うんだ!雄二。それに姫路さんは小学校の時から好きな人がいるんだ!
僕なんかとは全くそういうことはないよ!」

時が止まった。

「あっ、明久?姫路が顔を真っ赤にしているんだけど……?」」
「え? ……あっ、ごめん……」

顔を真っ赤にして卓袱台に顔を隠す姫路。
その姿を見て、原因を作った張本人は罪悪感を感じる。

「……まあ、その、なんだ……姫路、すまなかった」
「………………」
「そっか……幼馴染だからって、それが良い関係であるとは限らないんだね」

その姿に何も言えなくなり、全員が武器を下した。

「と、とにかく、俺と翔子は幼馴染で、小さい頃間違えてウソを教えたんだ」
「それが、大化の改新かの?」
「そうだ。アイツは1度覚えた事は、決して忘れない。だから今、学年トップの座にいる。だが俺はそれを利用し、アイツに勝つ! そうしたら俺達の机は……」

「「「システムデスクだ!」」」

その傍らでは、テンションは最高潮だった。

「今から宣戦布告に行くぞ、ムッツリーニと秀吉も用意しろ」
「・・・あんまり気が乗らんが、しかなない・・・」

明久、元輝、秀吉、瑞希、美波、ムッツリーニを伴った雄二は、一路Aクラスへ。

「本当にすまなかった」
「・・・もう大丈夫です・・・すいません」
「・・・雄二。ちょっと心配があるんだけど。特に姫路が」
「ん?あの噂か?」

霧島翔子は、言いよって来る男性を軒並み断っている。
その事から、同性愛主義者という話が囁かれていると言う。

「所詮噂だろ?安直過ぎる噂だと思うがな」
「それもそうじゃが、万が一という事もあり得るぞい」
「いや、万が一が一般的になってる方がおかしくないか?幾らこの学園は変人が多いとは言え」
「言われてみれば、そうじゃな」



その後、戻ってきた雄二達から勝負方式が伝えられた。

10時より始め、一騎打ち5回で3回勝った方の勝ち。
教科選択権は、Fクラス3回でAクラス2回。

Fクラス VS Aクラス


最終決戦が幕を開けようとしている

-10-
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