小説『とあるバカとテストと超電磁砲 文月学園物語』
作者:御坂 秀吉()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

バカとクラスと召喚戦争 最終決戦 〜アンタと決着つけたかったのよね・・・〜


午前10時、Aクラス教室にて。

「改めてみると、すごいな」
「だよね」

巨大サイズのプラズマディスプレイ、人数分用意されたシステムデスクにリクライニングシート。
パソコンや個人用エアコンや冷蔵庫まであり、その中身も学園側で管理。

「しかも担任が美人で才女の高橋女史と来れば、破格もいい所だ」
「私の担任するクラスになりたかったのなら、振り分け試験で相応の結果を出すべきです」
「ごもっともで」

立ち会いとなるのは、Aクラス担任であり学年主任である、高橋女史本人。

「では、両名とも準備は良いですか?」
「ああ」
「……問題ない」

それぞれの代表が、決意表明。

「それでは、1人目の方、どうぞ」
「アタシが行くよっ」
「じゃ、僕が行きましょう」

向こうは木下優子対するこちらは、工藤新一になりきっている大濱元輝

「科目は?」
「レディーファーストで」

「くっ、言ってくれるじゃない・・・英語Wで」

『Fクラス 大濱元輝 英語W433点』
  VS
『Aクラス 木下優子 英語W421点』

「「両方400越え!?」」

「やっぱり一筋縄ではいかないようね」

「それでは、始めてください」
「よし。試獣召喚!」
「覚悟しなさい、試獣召喚!」

高校の制服を着た工藤新一が姿を現した。

一方優子は
西洋鎧に、ランスという装備の召喚獣。

いきなりランスを持って突撃してくる優子の召喚獣。

「さて、始めるか・・・」
「その余裕はどこから来てるのかしら?」

ランスを振りかざしてきた優子の召喚獣を、右手で受け止めた。
と、同時にランスが消え去った。

「な、なに!?」
「俺の能力、魔術模倣は上条の右手の能力までコピーできるんだぜ」

武器を持っていない優子と無限のボールと能力が使える元輝
元輝のほうが圧倒的に有利だ。


「ふふ・・・あんたの攻撃パターンは研究済みよ、佐藤さんのおかげで」

「だったらどうします?御嬢さん?」

「怪盗キッドだか何だか知らないけど、私は遠距離攻撃すればいいんでしょ?そのボールで」

下手すると優子に攻撃させられるボールの攻撃は危険。そんなことわかってた。
「なら、この超電磁砲で・・・『あまい!!』なに!?」

優子の召喚獣が超高速で襲ってきた。素手でも400越えは相当な威力だ。
コインを飛ばそうとした瞬間殴りこんだ。

ふっとばされると、そこにはよろよろと立つ敵召喚獣。

『大濱元輝 英語W133点』

「流石はAクラス、なめちゃいけないか・・・」
「当たり前よ……けど、どうしよう?」

もういちど元輝が超電磁砲を使うのは考えにくい。そうすると、優子は素手で攻撃できないのだ。

「反撃だ!大濱!」
「やったれ平成のシャーロックホームズ!」

「あっ、あれ?元輝!?」
「……すまない、一応僕にもフィードバックはあるんですよ・・・」
「えっ、大濱って観察処分者!?」
「ちがう。僕は教員代行者および風紀委員なんですよ・・・」

(風紀委員?・・・(白井)黒子か・・・)
上条と御坂は別のことを考えていた

実はもともと中学生の御坂は、成績がいいから飛び級しただけであって、白井黒子は近所の中学校に通っている。

「てことは今の一撃でボクシングのストレートを食らったように痛いってこと?」
「・・・大丈夫です。まだやれます。こんなところであきらめるわけにはいかない」

バコッ!!!

「……あの、新一君?」
「……」
「えっと、Aクラス木下優子さんの勝ちです!!」

『Fクラス 大濱元輝 英語W0点』
  VS
『Aクラス 木下優子 英語W121点』

初戦Aクラス勝利

いきなり来た攻撃を右手で止めたが、右手の能力は300点のダメージなので
優子の召喚獣が300ダメージ食らった瞬間殴り倒したってことになる
「……優子、今のは酷過ぎる」
「あの、えっと、その、隙だらけだったから?あはははは・・・・」

だが木下優子に対して、Aクラスの面々は冷たかった。

「では、次のかたどうぞ」
「私が出ます。科目は物理でお願いします」
Aクラスからは、さっき元輝の行動パターンを解析した言っていた佐藤美穂さん。
Fクラスからは、
「よし。頼んだぞ、明久」
「え!?僕!?」
「大丈夫だ。俺はお前を信じている」
「ふぅ……。やれやれ、僕に本気を出せってこと?」
「ああ。もう隠さなくてもいいだろう。この場にいる全員に、お前の本気を見せてやれ」
「あなた・・・まさか!」
「いい勘してるね。そうさ。実は僕・・・」



「・・・左利きなんだ」



『Aクラス 佐藤美穂 物理389点』

『Fクラス 吉井明久 物理62点』

おかしい。本気を出したのに負けるなんて

「このバカ!テストの点数に利き腕は関係ないでしょうが!」
「み、美波!フィードバックで痛んでるのに、更に殴るのは勘弁して!」

「よし。勝負はここからだ」
「ちょっと待った雄二!アンタ僕のこと全然信頼してなかったでしょう!」
「信頼? 何ソレ? 食えんの?」

本気を出した左腕で殴りたい。

「では、三人目のかたどうぞ」

「…………(スック)」
「じゃあ、ボクが行こうかな?
1年の終わりに転入してきた工藤愛子です、よろしくね」

Fクラスからは、ムッツリーニこと土屋康太。
Aクラスからは、ショートカットのボーイッシュな女の子が出て来た。

「教科は何にしますか?」
「…………保健体育」
「土屋君だっけ? 随分と保健体育が得意みたいだね。
でも、ボクだってかなり得意なんだよ? ……キミと違って、実技でね♪」

その言葉に、Fクラスの面々は沸いた。
そのうち、明久も例外ではない。

「そっちのキミ、吉井君だっけ? 勉強苦手そうだし、保健体育で良かったらボクが教えてあげようか?もちろん、実技でね♪」

「アキには永遠にそんな機会なんて来ないから、保健体育の勉強なんて要らないのよ!」
「そうです! 永遠に必要ありません!」
「島田に姫路。明久が死ぬほど哀しそうな顔をしているんだが」

試召戦争で精神的に瀕死に追い込まれた人物は、おそらく後にも先にもこの明久だけだろう。

「そろそろ召喚を開始してください」
「はーい。試獣召喚っと」
「……試獣召喚」

Bクラス戦で見せた2本の小太刀を持つムッツリーニの召喚獣。
そして愛子の召喚獣は、セーラー服に巨大な斧を持ち、その腕には腕輪も装備されていた。

「実戦派と理論派、どっちが強いか見せてあげるよ」

愛子の召喚獣が、腕輪を光らせて踏み込む。
斧が雷光を纏い、ありえないスピードで距離を詰めよる。

「それじゃ、バイバイ。ムッツリーニくん」
「…………加速」
「え?」

突如ムッツリーニの召喚獣の姿が消え、相手の射程外に。
そして……

「…………加速、終了」

ムッツリーニが呟いてから一呼吸置き、愛子の召喚獣が倒れた。

『Fクラス 土屋康太 保健体育572点』
  VS
『Aクラス 工藤愛子 保健体育446点』

「そ、そんな……! この、ボクが……!」

相当ショックを受け、愛子は床に膝をついた。

「これで2対1ですね。次の方は?」
「俺だ!」
「やっと来てくれたのね。」

Fクラスからは上条当麻、Aクラスからは御坂美琴。両方とも能力者(?)だ。

「ここが一番の心配所だな」
「ああ……完全な能力者争いってところか」

始業式では防ぎ切った上条だが、こう戦いとなるとあまり得意でなくなる。。

「科目はどうしますか?」
「総合科目でお願いするわ」

と進言したのは、御坂美琴。
総合科目は学年順位がそのまま影響する。

「ちょっと待った! それは……」
「いいだろう!」
「当麻……」
「どうせ、点数が低いんだ。総合のほうがやりやすいだろう」

『Fクラス 上条当麻 総合科目1009点』
  VS
『Aクラス 御坂美琴 総合科目3897点』

「ま、マジか!?」
「中学生なのにこんな実力を!?」
「この点数、久保利光に匹敵するぞ……!」

至る所から驚きの声が上がった。
点数差2800点オーバーなのだから、無理もない。

「あの・・・御坂さん?どうやってそんなに強くなったんでしょうか?」

        レベル5
「……一応、私、超能力者なのよ」
「そうでした・・・」
「わかればよろしい。今回こそアンタを潰すわ」

常盤台中学の制服を着た御坂の召喚獣が、ゲームセンターのコインを投げる。

「あんたの幻想殺しだかなんだか知らないが、アンタのその能力を超えてあげるわ」

音速の約三倍の超電磁砲が撃たれた

「・・・望むところだ御坂!!お前の俺に勝つっていう幻想をぶち殺してやる!!」

一瞬で超電磁砲を消して殴りにかかる

「えっ!でもそんぐらいお見通しよ!」

襲ってくる瞬間、砂鉄で剣を作り振りかざした。

その瞬間上条は御坂の召喚獣になぐりかかった。


結果は・・・



『Fクラス 上条当麻 総合科目9点』
  VS
『Aクラス 御坂美琴 総合科目0点』


「勝者、Fクラス、上条当麻!」



ボロボロになりながらも、下がる。
御坂は悔しそうに下がっていった


ただ1人、その光景を見て安心しつつ羨ましげに見ていた人が居た。

「これで2対2です。最後の1人、どうぞ」

圧倒的勝利の上、敗北も殆ど運による物という結果。
Fクラスがここまでやるとは思っていなかったのか、高橋女史も若干焦りの表情を浮かべる。

「……はい」
「俺の出番だな」

最後は当然、互いのクラスの代表同士。

「教科はどうしますか?」
「教科は日本史、内容は小学生レベルで方式は100点満点の上限ありだ!」
「わかりました。そうなると問題を用意しなくてはいけませんね。少しこのまま待っていてください」

ノートパソコンを閉じ、高橋女史は教室を出ていく。
そして、Aクラスの面々はどよめいた。

「上限ありだって?」
「しかも小学生レベル、満点確実じゃないか」
「注意力と集中力の勝負になるぞ……」

2人の代表は、一旦自分達の陣地へと戻る。
まず雄二に声をかけたのは、明久。

「雄二、後は任せたよ」
「ああ、任された」

明久が差し出した手を、雄二はぐっと握る。
次にムッツリーニが歩み寄り、ピースサインを雄二に向けた。

「お前の力には随分助けられた。感謝している」
「…………(ふっ)」

口の端を軽く上げた笑みを浮かべ、ゆっくりと戻っていく。
次は瑞希が歩み寄った。

「坂本君、あのこと、教えてくれてありがとうございました」
「ああ、明久の事か。気にするな、後は頑張れよ」
「はいっ!」

最後に元輝が、雄二に向って拳を差し出す。

「泣いても笑ってもこれが最後だ。気を引き締めろよ」
「ああ。元輝、お前と明久と当麻が一緒に成した功績には、随分助けられた」
「なあに、俺がやりたいからやったまでだ……頼むぞ、代表」
「ああ」

コツっと、拳をぶつけ合わせた。







所変わって視聴覚室。

「では、最後の勝負、日本史テストを行います。制限時間は50分、満点は100点です」

その様子はAクラスの巨大プラズマディスプレイに映し出され、他の面々はそこで待機。

「不正行為などは即失格になります。良いですね?」
「……はい」
「わかっているさ」
「では、始めてください」

そして、問題は始まった。
Fクラスの面々は、ディスプレイに映し出される問題を凝視し始める。

勝利のカギを、懸命に探すために。

<<次の( )に正しい年号を記入しなさい>>
( )年 平城京に遷都
( )年 平安京に遷都
   ・
   ・
   ・
( )年 鎌倉幕府設立
   ・
   ・
   ・
( )年 大化の改新

「あった……あったぞ!」
「じゃあ、ウチらの卓袱台が……」
「うん! 最下層に位置した僕たちの、歴史的な勝利だ!!」


「「「うおぉぉおおおおおお!!!」」」

Fクラスの面々が、歓喜の雄たけびを上げた





<日本史勝負 限定テスト 100点満点>

『Aクラス 霧島翔子 97点』
  VS
『Fクラス 坂本雄二 53点』














Fクラスの卓袱台が、みかん箱になった


視聴覚室になだれこんだ僕らに対する高橋先生の締め台詞。





「3対2で、Aクラスの勝利です」

-11-
Copyright ©御坂 秀吉 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える