小説『とあるバカとテストと超電磁砲 文月学園物語』
作者:御坂 秀吉()

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バカとクラスと召喚戦争 〜俺の最弱はちっとばかし響くぞ〜



VSBクラス戦 開幕

「いたぞ、Bクラスだ!!」
「高橋先生を連れているぞ!!」

昼休みのチャイムが鳴り終わると同時に、戦いは始まった。
前線指揮は上条当麻、先陣を切るのは吉井明久と姫路瑞希。

「ねえ俺は、今回は前に出ないの?」
「いや、今回は元輝が前に出るのはまずい」
「今回は上条の右手の能力にかけたほがいいじゃろうていうのが坂本の考えじゃからな」
「ああ、そうだ秀吉。」

Bクラスはまず、10人前後に対しFクラスはほぼ総力。
今回は廊下を制することが先決ともあり、勢いが大事だからだ……が。

『Bクラス 野沢裕也 総合1943点』
VS
『Fクラス 近藤吉宗 総合764点』

『Bクラス 金田一郎 数学159点』
VS
『Fクラス 武藤啓太 数学69点』

『Bクラス 蓮見千尋 物理152点』
VS
『Fクラス 君島博 物理77点』

Dクラスとは格が違い、ほぼあっさりと大半が押し切られてしまった。

「援護する、戦死しそうな奴は下がって!!」

やられそうになった召喚獣を、元輝の援護でフォローし撤退を指示・

『Bクラス 佐々木優人 物理165点』
VS
『Fクラス 大濱元輝 物理476点』

「え!?」
「ごめんな。高校生探偵は成績が良くないと、いろいろ不便でね。」
「うっ、ウソだろ!?お前、本当に工藤新一じゃないのか!?」

召喚獣の武器は基本的に剣や槍のほかに、弓と言った遠距離武器も存在する。
しかし遠距離の場合は精度も求められる為、基本牽制程度にしか使えない。
だが元輝の場合、元々の足とサッカーボールを無限に使えると言う利点もある為、それらは一切関係ない。

「よし、1人撃破!」
「Bクラス、中田姫奈。工藤新一・・・大濱元輝に数学勝負!」
「今、名前間違えなかった?」
「ごちゃごちゃうるさいわよ」

『Bクラス 中田姫奈 数学166点』
VS
『Fクラス 大濱元輝 数学277点』

「数学はちょっと苦手かな♪」
「どこが苦手よ!!」」

敵Bクラスの女子は哀れ補習の餌食となった。

「よし。あとは上条しだいか」
「うん!」
「よし、大濱に続け!!」

そのまま大濱は攻め込んでいく。Fクラスはその勇敢な姿を見て奮起!

「古典で大濱元輝に勝負を仕掛ける!」
「げっ! しまった!」

『Bクラス 田丸雄真 古典210点』
VS
『Fクラス 大濱元輝 古典198点』

「大濱!」
「なめるなって!」

「どいてろ雑魚!」
「うるさい!」

敵召喚獣の攻撃を、軽くよけ、トランプが弾の銃を取り出した。

「うぐっ・・・何?あれは怪盗キッドのトランプ銃!!」
「だから、気づくの遅いって。」
「ああ、ごふぁ!」

ギリギリで勝った。しかし残りの点数は16点しかない。

「明久!例のやつを!」
「了解!!」

明久は古典の先生に近づいてこういった。
「・・・先生、カツラずれてますよ」
「っ!!失礼、ちょっと席を外します」
古典の教師は戦場から離れ、物理教師が代理で来た。
一息つくと、同じフィールドにいる同志達の援護へ。

「お、遅れ、まし、た……ごめ、んな、さい……」
「おいおい、大丈夫か?」
「はい……平気、です……」

そこへ、息絶え絶えだがFクラスの勝利の女神登場!

「来たぞ、姫路瑞希だ!!」
「長谷川先生、Bクラス岩下律子です! Fクラス姫路瑞希さんに、数学勝負を申し込みます!」
「律子、私も手伝う!」

瑞希が現れた途端、Bクラス陣営は表情を引き締める。
まず、10人程度の戦力しかいないのに、2人がかりで勝負。

『Fクラス 姫路瑞希 数学412点』
VS
『Bクラス 岩下律子&菊入真由美 数学189点&151点』

「あっ、腕輪!」
「腕輪? ……それって確か、何点かオーバーしたら、特殊能力が付加されるって言う?」
「まあ、姫路ならおかしくはないか」

瑞樹の召喚獣が、腕輪を付けた左腕を向けると、腕輪から光線が放たれる。
そのうち1体を炎でつつみ、もう1体も大剣でなぎ払い、戦闘不能へと追いやった。

Bクラス前線戦力現在6名。

「みっ、皆さん、頑張ってください!」
「「「「おおーーーっ!!!」」」」

姫路の声援によって、士気は大幅アップ。


「・・・根本が動かない。どういうことだ・・・」
「どうしたのさ、元輝?」
「そろそろ根本が動くころだと思ってな」
「っ! ……そうだね」
「雄二に何かあるとは思えんが、そろそろなんらかの手段を講じる頃じゃ」

3人は駆け足で、Fクラスへ。
教室の扉を開けるや否や、そこに広がっていた光景は……

「……やってくれやがったな」

穴だらけの卓袱台に、へし折られたシャーペンと消しゴムと言う光景。

「酷いね。これじゃ補給がままならない」
「うむ。地味じゃが、点数に影響の出る嫌がらせじゃな」
「あまり気にするな。修復に時間はかかるが、作戦に大きな支障はない」

そこへ、代表である雄二が割り込んできた。

「雄二、これは一体どういう事だ?」
「協定を結びたいという申し出があってな。調印のために、教室を空にしていた」
「協定じゃと?」
「ああ。4時までに決着がつかなかったら、戦況をそのままにして続きは明日午前9時に持ち越し。その間、試召戦争にかかわる一切の行為を禁止するってな」
「それ、承諾したの?」
「そうだ」

時間的には、こちらの作戦通りに事が進み、そのころには教室へ押し込める戦況から始められるはず。
Fクラスとしては、好条件ではある。

「確かに、それなら姫路が万全の状態で始められるから、俺達としては都合が良い……が、どうにも解せないな」
「ああ。確かにあの根本がそんな協定を結ぶなんて引っかかるが、今回もクラス全体と言うより姫路の個人戦力がカギとなる以上、乗った方が勝率が高くなる事は事実だ……一応、用心してくれないか?」
「ああ。明久、秀吉、お前らは前線に戻れ。俺は雄二と一緒に、シャープや消しゴムの手配をやるから」

明久と秀吉が頷くと同時に、教室を飛び出して行った。
2人を見送ると、近衛隊および雄二と共に教室整理を始める。

「それで、代表閣下はどういう思惑だとお考えで?」
「補給手段を断つ為だけに、こんな向こうに不利な条件を出すとは思えん……何かがあるな」
「ああ……ムッツリーニと合流して情報収集に」
「それはダメだ。姫路に次ぐ主戦力の元輝に何かあれば、士気が落ちる」

舌打ちをして、片付けと手配に戻る元輝。
それらが終わり、4時となって協定通り一旦休戦。





「……で、一体何があった?」
「わかりません。気づいたら、廊下に倒れてまして……」
「おいおい、まるで散々殴られた後で廊下に頭から叩きつけられたかの様なケガじゃないか!? すぐ寝かせないと! 姫路、ハンカチか何か濡らして持ってきてくれ!」
「はっはい!」

「……それで、戦況は?」
「相手を教室に押し込んだところで休戦時刻じゃ」
「その辺りは、予想通りだな……だとしたら、やっぱり解せないな」
「じゃが、今のところは明久を除くとこれといった目立つ被害もないぞい」

瑞希に看病して貰っている、今だ目覚めぬ明久に目をやっての発言である。

「うっ……」
「ああ、気がついたか明久?」
「…………」
「ん? ムッツリーニ。何か変わった事があったか?」
「…………(コクリ)」


「Cクラスが、試召戦争の準備を?」
「…………(コクリ)」
「狙いはAクラスじゃないだろうから……大方、漁夫の利を狙うってところか?」
「んー、そういうことならCクラスと協定でも結ぶか。俺達が勝つとも思ってないだろうし、Dクラスを使えば難しい事でもないだろう」

と言うや否や、明久、元輝、瑞希、ムッツリーニを伴い教室を出る。
その途中、美波と須川の2名も加え、一路Cクラスへ。

「Fクラス代表の坂本だ。このクラスの代表は居るか?」
「私だけど、何か用かしら?」

扉をあけると同時に、名乗りを上げた雄二に応えたのは、1人の女生徒。

「っ!」

その姿を見て、元輝は昨日の光景を思い出した。
廊下を、ある人物と共に歩くその姿。

「ああ、Fクラス代表として……」
「ちょっと挨拶に来たんだ。Cクラスの代表は美人だと聞いたから、是非ともお近づきになりたいと思ってな」
「なっ!? ……あっ、ああ。へえっ、聞いた通りに活動的な美人じゃないか。ぜひとも、仲良くしてほしい」
「ちっ……あらそう? ありがとう。小山友香です、よろしく」

微かに舌打ちをした後、あいさつを返す小山代表。
それから軽く談笑した後、Fクラスの面々は帰っていった。

「作戦失敗か」

奥の方からBクラス代表、根本恭二が小山に歩み寄った。

「どうやら彼、私達の事を知ってたみたいね? 大濱元輝、今日、随分と目立つ戦果をあげたらしいじゃない?」
「関係ないな。たかが名探偵に似てるだけの低得点者がどうあがこうが、俺達の勝利の算段はもう出来てるんだ」

そう言ってニヤリと笑みを浮かべ、ある封筒を取り出した。

一方、Fクラス面々は。

「どうしたのいきなり?」
「あいつ根本の彼女だ。Cクラス代表だってのは、今初めて知った」
「そうだったのか……危なかったな」

試召戦争に関わる一切の行為を禁じる。
その条文はこれが狙いだったのかと、雄二は舌打ちをした。

「それでどうすんだよ? これじゃBクラスに勝ったとしてもCクラス戦だ。分が悪すぎる」
「それに関しては考えがある。明日、上条、お前の力が必要になるだろう。よろしくたのむ」
「わかった。」
「ある意味一番性質が悪いな。根本のクソヤローめ……さて、明日はどんな汚い手を使ってくる?」

彼は頭の中で、勝った暁に行うペナルティについて、模索を始めていた。



次の日

「今から昨日言った作戦を実行する」
「作戦って、Cクラス対策のか?」
「ああ、まず一つ目だ。秀吉にこいつを着てもらう」

現在午前8:30、Bクラスとの戦争再開にはまだ早い時分。
教壇に立ち、そう宣言した雄二は文月学園の女子制服を取り出した。

「それは別に構わんが、ワシが女装してどうするんじゃ?」
「いや、そこは構うべきだと思うが、雄二の狙いはわかった。秀吉に優子になりすまして貰ってCクラスを挑発、攻撃の矛先をAクラスに向けさせるってところですね?」
「その通り。元輝ならまだしも、面識がないCクラスでは見破る事は不可能だ」

優子と秀吉は二卵性双生児だが、パッと見では家族ですら見分けがつかない程似ている。
てかちょっと待った!!

「おい、坂本!なんで俺の正体を知ってる!!」
「いや、怪盗キッドの銃なんて見たら、誰でもお前だとわかるだろ」

うっ・・何も言い返せない。

「と言う訳で秀吉、用意してくれ」
「う、うむ……」

雄二から制服を受け取り、その場で着替え始める秀吉。
明久をはじめとするFクラス男子は、その着替えの光景に絶句。
ムッツリーニもすごい速さでカメラのシャッターを切り、その光景に釘付けとなる。

「よし、着替え終わったぞい。ん? 皆どうした?」
「さぁ?」
「……さあな?」

秀吉、雄二が疑問符を浮かべていた。
それから雄二、秀吉、明久、元輝の4人は一路Cクラスへ。

ある程度まで近づいて雄二、元輝、明久は身を隠す。
秀吉はCクラスへ。

「ねえ、大丈夫かな?」
「秀吉なら大丈夫さ。あいつは演劇部のホープだぞ」
「そうだ明久。秀吉を信じろ」

さて、秀吉はどんな挑発をしてくれるのかな?

深呼吸をし、表情を引き締めてCクラスの扉を開くと、

「静かになさい、この薄汚い豚ども!」
「な、なによアンタ!」
「話しかけないで! ブタ臭いわ!!」
「あんた、Aクラスの木下ね? ちょっと点数良いからって、良い気になるんじゃないわよ! 何の用よ!」
「私はね、こんな臭くて醜い教室が同じ校内にあるなんて我慢ならないの! ましてブタ臭い貴女達なんて、豚小屋で十分だわ!」
「なっ! いうに欠いて、私達にはFクラスがお似合いですって!?」
「手が汚れてしまうから本当は嫌だけど、特別に今回は貴女達を相応しい教室に送ってあげようかと思うの。ちょうど試召戦争の準備もしている様だし、覚悟しておきなさい。近いうちに、私達が薄汚いブタの貴女達を始末してあげるから!」

そう言い残し、靴音を立てながら秀吉はCクラスの教室を出ていく。
それと同時に、Cクラスから小山代表のヒステリックな声が響き渡る。

『Fクラスなんて相手にしてられないわ! Aクラス戦の準備を始めるわよ!!』

「これで良かったかのう?」
「ああ、本当に優子かと思ったくらいだ!」
「しかし、こんな事が姉上にばれたら・・・」
「だいじょうぶだろ・・・たぶん」

4人は一路、Fクラスへ。

「さて、2つ目の作戦だ。上条、準備はいいか?」
「ああ、大丈夫だ。あいつの腐った根性と卑怯な手しか使えないなら、

まずはその幻想をぶち殺す!!」

「ああ、頼んだぞ!!」


そして、VSBクラス戦、再開

「戦線を拡大させるな!!」

元輝の指示が飛ぶ中での、右側と左側の扉でぶつかりあうBクラス教室攻略戦。
代表の指示は、『これ以上Bクラスを攻めさせるな』であり、戦況的には順調。

「勝負は極力単教科で挑むのじゃ! 補給も念入りに行え!」

始まってから数時間、事は順調に進んでいるが、ここにきて異変が起こっていた。

「……」

本来元輝より先に指揮を執る筈の瑞希が、一向に何かしようとしない。
それが大きく響き、戦線は危うかった。

「よし、秀吉と明久、姫路はこっちへ! 明久と秀吉は、木村先生を拉致されない様ガードしろ」
「うん!」
「承知した!」

物理の木村教諭のフィールド内で指揮をとり、Fクラス勢は冷静さを取り戻し始めた。




「Fクラス、上条当麻、Bクラスに試召戦争を申し込むぜ!試獣召喚!!」

『Bクラス 笹岡和空 英語W 199点』
VS
『Fクラス 上条当麻 英語W 35点』

「「「「「こいつ、雑魚だ!!」」」」」


Bクラスの30人くらいの人が襲ってきた。

「・・・バーカ」

右手を前に出した。すると、遠距離攻撃がすべて消え、また刀や剣で襲ってきたやつの武器が消えた

「所詮、召喚獣は幻想。この幻想殺しだったらすべて消え去るぜ!!」

「なっ・・・」


上条が右手で殴られた召喚獣はなぜか300点のダメージを受けた。

「「「「「「何?Bクラス前のやつらが全員戦死!?突撃!!」」」」」
FクラスがBクラスに攻め込んできた。




しかし、廊下では主力である瑞希の行動がおかしい。

「姫路さん、一体どうしたの!?」
「そ、その、なんでもないです」

明久が様子のおかしい瑞希に駆け寄った。
だが、それでも時は待ってはくれず、無情に戦況は変化していく。

「姫路、頼む!」
「はっはいっ!」

瑞希がようやく動き、一歩前に……

「あっ……!」

動こうとしたが、急に動きを止めて俯く。
明久はふと、瑞希の視線を追っていき……根本の手にある封筒に目を付けた。

「あれは……!」
「どうした、明久?」

秀吉と元輝もその視線を追い、根本の手に握られている封筒に気がついた。
それを見て様子がおかしくなった事と、怯えたまま明久を見つめる瑞希の姿を見て、2人にはある程度の予測がついた。

(おそらく、明久宛のラブレターと言った処じゃろうな)
(ああ……あのクソ野郎、だからあんな協定を持ちかけやがったな。昨日の罠といい、やってくれるじゃねいか)
(うむっ。何と言う下劣な手を使うのじゃ、あの男は)

協定の内容自体は、瑞希が居るからこそFクラスにとって有利に働く。
だが動けなければ、Bクラスにとって圧倒的に有利に働く条件。

「姫路さん」
「は、はい……?」
「具合が悪そうだから、あまり戦線に加わらないように。試召戦争はこれで終わりじゃないんだから、体調管理には気を付けてもらわないと」

明久がなだめるように瑞希を戦線から外そうと説得。
その間上条は異変に気づき、アイコンタクトで元輝から情報を聞いていた。

「明久、行くぞ」
「うん!」
「指揮はワシに任せるのじゃ、頼むぞ明久、元輝、上条!」

明久と元輝と当麻は背を向けて、教室へと駈けだす。
そして……

「面白いことしてくれるじゃないか、根本君」
「へえっ、お前から皮肉聞くなんてな……協力するぜ?」
「ああ、やっぱりおれたちは、」
「ああ、頼むよ。相棒」
「やっぱり俺たちは、」

拳と拳を重ねあい3人で誓った。

「「「絶対あいつの腐った幻想をブチ殺すぅ!!!!」」」

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