小説『ハイスクールD×D〜KING OF BLOOD FIELD〜』
作者:曼陀羅悪鬼丸()

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第2話「遭遇」

†御空side†

 あの後、特に何事もなく授業は終わった。
 すぐ帰っても何もないので図書室で読書していた。前世から読書は好きだし。
 だが、読書にのめり込み過ぎて時間の経過を忘れてしまうのはどうにも治らない。窓を見ると、すでに太陽はほぼ沈んでいた。


「そろそろ帰るか」

 鞄を持って下駄箱に向かう。
 靴を履き替え、校庭を横切り、校門を出る。

 帰路を歩いていると、既に空は暗くなり、空は星が輝き始めていた。


「あれ? 御空?」

「あ?イッセー?」

 何故か早く帰った筈のイッセーがいた。ちなみにイッセーの家と俺の家は近い。なので、よく一緒に登校したりしている。


「何やってんだイッセー?」

「いや、俺はエロDVDを松田と元浜と見てて、その帰り」


 ……そうだった。学校で何か広げてたな……。

 ま、とっとと帰るか。

「ま、帰ろうぜ」

「おう」

 と、イッセーと帰ろうとした時、

「っ!?」「……っ」

 冷たい何かを感じた。それを感じて振り返る。
 イッセーも何か感じたらしい。

 ……そうだ。
 この感覚は…………。

 殺意……っ!!



「これは数奇なものだ。都市部でもないこのような街で貴様のような存在と遭遇するとはな……」

 現れたのは一人の男。この殺意は間違いなく、この男からだ。

「む?貴様は人間か……?」

 男は俺を見て、俺を人間と認識したらしい。
 どうやら、俺の気配隠しはかなり上手くいってるようだ。

 すると男はイッセーに殺意を向ける。
 イッセーは向けられた殺意に恐怖し、震えている。

「貴様の主は誰だ?」

 イッセーは震えて答えない。
 俺の選択はひとつ。

 駆け出し、イッセーの腕を掴む。

「えっ!?」「何!?」

「逃げるぞ!!」

 そのまま走り抜ける。
 途中からはイッセーも自分で走り出す。

 さて、どうなるかな……。




†イッセーside†


 変なおっさんに出会ったと思ったら、急に寒気を感じて、身体が震え始めた。

「貴様の主は誰だ?」

 いやいやいや!!なんすかこのおっさん!?
 ワケわかんねーよ!

 その瞬間、腕に軽い衝撃が走る。

「えっ!?」「何!?」

「逃げるぞ!!」

 御空が俺の腕を引っ張って走り出した。
 て、速い速い速い!
 速過ぎじゃねぇ!?

 途中から俺も自分で走ったけど、何か俺も速くねっ!?


 走っていたら、公園に着いた。


「が、ぜぇぜぇ……」

「ふぅ、大丈夫か?」

 む、無理……横腹めっちゃ痛ぇ……。

 で、でもここまで逃げりゃあ……。


「逃がすと思うか?」

 ……終わった。




†御空side†

 逃げ切ったかと思えば、まだ追いかけてきやがる。

 上空を見上げると、先ほどの男がカラスのような翼を生やし、浮かんでいた。

「さて、貴様の主は誰だ?」

 またイッセーに問う。だがイッセーは答えない。いや、答えられないだろな。訳わかんねぇし。

「貴様、はぐれか? ならば殺しても」

「そこまでだ」

 イッセーの前に立つ。
 幼馴染みを助けてやりますか。

「何だ人間?貴様、邪魔をするな」

「み、御空」

「任せろイッセー」

 不安そうな声を出すイッセーに言う。

「人間、邪魔をするなら容赦は」

「黙れよ、堕天使」


 魔力を解放する。
 男の顔色が変わった。

「なっ!?貴様も悪魔かっ!!」

「正解」

 けど、気付くの遅ぇよ。

『ミソラ』

「あぁ、いくぜ」


 神器を発動する。


 ドクンッ


 心臓が高鳴る。


 ビキキッ


 左頬に皹が入るように血管が浮かび上がる。

「な、何だ貴様!?」

 男が狼狽える。
 当然だろう。今の俺は規格外と言える程の魔力を纏っているのだから。

「み、御空……?」

 イッセーも震え始めた。

「イッセー、今まで黙ってて悪いな。俺、人間じゃないんだわ」

 すると俺の魔力に耐えられなかったのか、倒れてしまった。
 守るつもりが逆効果だな……。


「来いよ、堕天使」

「く、貴様……!」


 俺が睨みつけると、堕天使が身構えた。

 その時、


「その子に手出ししないでちょうだい」


 第三者の声がその場に響いた。


「その真紅の髪……グレモリー家の者か……」

「リアス・グレモリーよ。闇に堕ちた天使さん」


 やって来たのはリアス・グレモリー先輩だった。
 この感覚……この女も悪魔だったのか……。
 ま、堕天使の相手は任せて俺はイッセーの様子を見よう。

 ……何か微妙ににやけてんな……絶対エロイ夢見てやがんな……。


「では、さらばだ」

 あ、堕天使がどっか飛んでいった。

「それで」

 と、リアス・グレモリーは俺の方を向く。

「貴方は一体何者なのかしら?」

「さぁてね。それよりイッセーを家に連れて行きたいんで手伝ってくれます?」

「……小猫」

 しばし黙っていたが、口を開いた。納得してくれたのか?

 すると、銀髪の少女が現れた。

「あれ?塔城ちゃん?」

「あ、暁先輩……」

「小猫、知り合い?」

 塔城ちゃんはこくん、と頷いた。
 一年の塔城小猫。前から仲良かったりしていた。何か波長合うし、甘いもの好きだし。

「小猫、彼を運んでくれる?」

「……」

 塔城ちゃんはその言葉通り、イッセーを持ち上げた。
 すごいな。

「それじゃ、明日使いを送るからこの子と一緒に来てちょうだい」

「わかった」

「……それじゃあ」

「じゃあな、塔城ちゃん」

 塔城ちゃんに手を振り、俺も家に帰る。
 まぁ、帰り道同じなんだが。


-4-
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