ポデーラと会話をした翌日、?作戦″について、ある人に協力を頼もうと、とある隊舎の前まで来ていた。
「お、神崎さんだ!」「神崎さん、ちっす!」「おー、神崎の旦那、今日も稽古ですかい?」
門をくぐると、何人もの隊員が声をかけてくれる。
…そう、ここは十一番隊舎。最初は皆俺のことを何だこいつ?みたいに見ていたのだが、一角と戦ったあの試験の後からは、顔を出すごとにそのわだかまりも無くなっていき今では俺が来るとこうやって挨拶してくれるまでになった。
でも何故か、さんとか旦那とか…普通に呼んでくれる人はほとんどいない…。。
いるっちゃいるが、こいつが面倒で、いつも俺が来るt「おい、神崎テメェ、また気やがって!」…はぁ。
「一角、また俺のことを出迎えに来てくれたのか?お前って意外とツンデレさんなんだな…。」
「ツンっ…!るせぇ!!今日こそテメェをぶちのめして、んな口利けなくしてやる!!」
「…そういうのって負ける奴が必ず言うセリフなんだけどな…。」
「んだとこの野郎?!」
つっかかってくる一角でしばらく遊んだ後、そろそろ本題に入ることにする。
「今日は隊長さんはいるのか?」
「ああ?わざわざテメェに教えてやる筋合いなんてねぇyぐぼぁ!」
「やっほー!ざっきー!!剣ちゃんならいつもの部屋にいるよー!」
突然登場したのは十一番隊副隊長の草鹿やちるだった。隊長さんの居場所を教えてくれるなんて、どこかの一角とは大違いだ。
…登場したときに一角がドロップキックで吹き飛ばされたことについては黙っておこう…。
「草鹿副隊長、ありがとうございます。どこかのハゲとは大違いですね。」
「えへへー」
「おいごら!これは坊主だ!ハゲじゃねぇんだよ!!!」
うお!復活早!だいぶ吹っ飛んでったんだけどな…
「ちょっとうるさいよつるりん!」
「だからその呼びかたすんじゃねぇつってんだろドチビ!!」
そう言った一角がもう一度蹴り飛ばされたことは言うまでもないだろう。ていうか、さっきよりも飛んでったな、あれ…。
スッキリした顔のやちるがこちらへ戻ってきた。
「これから剣ちゃんのところに行くの?あたしもついて行っていい??」
ついて行きたいって…。まあ、いいけど、話聞かれるのはちょっと困るな…。
「構いませんが…、話をするときにだけ席をはずしていただいてもいいでしょうか。」
「えー、二人だけで内緒話ー?ずるいー!」
「えーって言われましても…。あ、そうだ!今度副隊長の好きな金平糖持って来ますから!それで勘弁してくれません?」
「ほんと!?ねー、ほんと!?嘘ついたら針千本呑ませた後に剣ちゃんにいじめてもらうからね??」
「ほ、本当です、約束します…。」
…金平糖が大好物なのは知ってたけど、まさかここまでとは…
内心苦笑しつつ、金平糖を持ってくるとは約束したものの、一緒について行くことだけは譲らなかったので、仕方なく二人で剣八の居る部屋まで向う。
剣八は、よく隊長室にいる。隊長の仕事はあまりやってないようで、かといって日々鍛錬をしているわけでもないらしい。
だが稽古場にはよく顔を出すみたいで、十一番隊の人いわく、俺が来てからは毎日誰よりも先に稽古場にいたらしい。
そんなことを考えていると隊長室の前まで辿り着いた。
「更木隊長、神崎です。」
「あぁ、入れ。」
その声を聞き、襖を開け中へと入る。
部屋の中にはだるそうに腰掛けてる剣八がいた。…やっぱり仕事なんてしてないみたいだ。
前から思ってたけど、誰が仕事やってる…やらされてるんだろう。
「今日は何の用だ?」
「いえ、今日はお願いをしに来まs「面倒だ、帰れ。」いやいや、最後まで聞いて下さいよ…。」
何故この人は面倒なことと自分にとって楽しくないことにはことごとく関心を示さないんだろう…
「ちゃんと更木隊長が楽しめる内容ですから!」
「何だ?聞くが、内容によっちゃ斬るぞ?」
いや、斬魄刀チラつかせて脅すのやめてって!本気としか思えないから!
「本気だが?」
「って、人の思考読まないでください!」
「おめぇは考えが顔に出てんだよ。で、早く言わないなら本気で斬るぞ?」
…全く、この人は自由人なんだから…。
とか心の中で思いながらも、今回のお願い…というより、作戦の協力を頼む。
「その前に、草鹿副隊長?」
「…やっぱりここにいちゃダメ?」
「ダメです。」
「ざっきーのケチ!」
ケチって、まったくもう、隊長と二人揃ってこの人たちは…
「金平糖…(ボソ」
「剣ちゃんまたあとでね!あたし用事思い出した!!!」
そう言ってやちるは一瞬で部屋から去って行った。
それを見て剣八は少し驚いているようだった。
「…やちるに何かしたのか?」
「ただの賄賂ですよー。」
「なるほどな…。」
それを聞いただけで剣八は納得したようだった。
さて、そろそろ本題に入らないと。
「それでですね、ちょっと手伝っていただきたい事があって、その内容は……………」
話終わって、剣八は少し黙っていた。そして、大きなため息をついてから口を開き、何を言うかと思ったら…
「テメェは馬鹿か?」
…ポデーラと同じこと言わないでください…。
「はい。それもかなりの馬鹿みたいです。」
でもまあ、こう言われるだろうとは分かっていたので苦笑いをして返す。
そんな俺を見て、剣八はもう一度溜息をついた。
「…しょうがねぇ、そのお願いとやらに協力してやるよ。だが、死んでもしらねぇぞ?」
「大丈夫です、そう簡単に死なないと思いますし、むしろ殺す気でやってもらわないと意味が無いんで。」
「…で、それはいつやるんだ?」
「…明日の夜に。」
そんなに早いとは思っていなかったのか、剣八は驚いている。
「…早いな。」
「俺にも時間が無いんで、しょうがないんですよ。」
それ以上俺は話すこともなく、剣八もこれ以上言うことは無いようだったため俺は失礼しました、と一言言って部屋を後にした。
その夜、やちるに何を話していたのかしつこく聞かれたようだが、めんどくせぇ、とだけ言って話すことは無かったとか。。