小説『死神転生』
作者:nobu()

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俺が圭としてこの世界に生まれてから、早くも10年が経った。
え?時間経つの早すぎだって?やっぱりそれは作者のつg…ゲフンゲフン。
虚と出会ったあの日から、大した出来事はなかった。

だが、今年、とてもすごい事があった。何と俺に、妹ができたのだ。

妹の名前は神崎美弥(みや)。我が妹ながら可愛い。将来が楽しみだ。


それと、良いこと?かは分からないが、判明したこと。俺には結構強い霊感があるらしい。

あの虚に会ってから、それ以降虚には出会っていないが、普通の霊をよく見るようになった。見かけると、俺についてくるのだが、なぜか家に着くとそれ以上入ってこなくなる。何故なんだ?

…いくら考えても分からん。知恵熱を出しそうになる前に、難しい考えはやめることにする。

今日は両親は不在。俺は暇なので外に行きたかったのだが、「お留守番お願いね♪」と母に言われたため、外に行くことができない。

俺は母さんが作っていった昼ご飯を食べ、イベと遊んでいたのだが、眠くなってきてしまった。


(別にやることもないし、昼寝もいいか)


そして俺は暖かい陽気の中、眠りに落ちて行った。





―――――きて―――――

―――――ねぇ、起きて――――

誰だ…俺のお昼寝タイムを邪魔するのは…。


「ん……なーに?」


目を開けると…そこは俺の家ではなかった。

色というもので表現できない。透明、としか言えない世界。色のない世界。

あれ?こんな所に前も来たことがあったような…?


『やっと起きたんですねー』


声がする。しかも聞いたことのある…
そうして俺は声のする方向へ視線を向けると……

そこには幼女がいた。


「………幼女がいる…。」


思わず俺はそんなことを呟いていた。


『は!?幼女じゃありませんよ!いや、実際そうなのかもしれないけど… いや、私の事忘れたんですか!?』

「あ、神様!?」


思い出した。俺が転生するときに世話になったんだった。
でも、なんで今俺の前に現れたんだ?


『お久しぶりです。100年ぶりですかね?…あ、いや神界は10倍のスピードだから実際は10年かな…』

「100年!?あれから100年も経ってたの?よく俺の事覚えてたね」


100年…俺からしたらきっと想像できない長さなのだろう…。


『もちろんです!だってあなたずっと会いたかったんですから!』


俺に会いたかった?どういうことだ?


「会いたかったって、なんで?」

『それはあなたのことがs…い、いや、あれから100年たったので、あなたに教えてほしい事と、伝えたいことがあるので、ここまに来てもらいました!』


今何か言いかけた?俺が何とかって…。まぁ、気のせいか。


『ま、まず、教えてほしい事なんですが、あなたはどこの世界に行けましたか?』

「あぁ、BLEACHだったよ。……分かるか?」


昔は分かってなかったようだったので、念を押す。


『あれから100年も経ったんですよ!あなたのために私だっていろいろ勉強しました!』


俺のため?何でそこまでしてくれるんだ?


『しかし、BLEACHですか…。これは少し大変ですね…。』


神様がちょっと悩んでいる。どうしたんだろう…


「大変って、何がどうしたんだ?」

『そうですね、まず、BLEACHには斬魄刀というものがありますよね?

本来斬魄刀は使用者の魂、つまり死神の力を、結晶化したものです。
死神は一人一本持つことになっていますが、元々その世界には存在しなかったあなたというイレギュラーは、死神になっても、このままだと斬魄刀を持つことはできません。

そこで今回、あなたの斬魄刀をここで生成しようと思います。その後、そちらの世界へ送り届けます。あの、大丈夫ですか?』


ちょっと待ってくれ。いきなり多くの事を言われると、頭が混乱する。
しかし、こんなに詳しく知っているとは、凄い勉強したんだな…。


「あー、つまり、このままじゃ俺が死神になっても斬魄刀は手に入らないから、ここで作ろうって事でいいか?」


頑張って頭の中で整理したことで確認をとる。


『まぁ、大体そんな所でしょう。斬魄刀は、あなたの力量に合わせてその姿、能力が決まります。今回は、あなたの記憶をこの斬魄刀に伝えてもらいたいのです。』


そう言って差し出した神様の手には、一本の刀があった。


「記憶を伝えるって、具体的には何をすればいいんだ?」

『あなたはこの刀を掴んで、心を静かにするだけで大丈夫です。』


おお、何と簡単な。じゃあ早速やるか。


「分かった。じゃあ刀を。…………。」


そうして俺は刀を受け取って、目の前に突き出し、心を静かにさせる。

…………。


『―――――――。』

「なんだ…?」


刀から何かが聞こえたような気がした。


『終わりましたね。これで大丈夫です。』


そう言って神様は俺の手から刀を預かると、横に黒い穴が開き、その中に丁寧に刀をしまった。


「こんなんでいいのか?意外とあっさり終わったな。」


本当に、思ったものよりあっけなかった。


『いえ、そんなことありません。どんな物にも命があります。あなたの記憶は、あの刀の命の元になったのですよ。……ところで、何か聞こえましたか?』


神様が真剣な目で言ったので、凄い説得力があった。しかし…


「何か聞こえなかったかって、どういうことだ?確かに、何か聞こえたが…何故それを?」

『―――――――。』


そう、確かにあの時、刀から何か聞こえた。
だが、あれが何だったのか分からない。


『そうですか!聞こえたんですか! …あれはですね、刀の"鼓動"です。無事に命が灯ったというのと、あなたが気に入った、という証拠なんですよ!』


そういう神様は何だかとても嬉しそうだ。まるで、自分の事みたいに。


『あ!そろそろあなたが目覚める時間です!ここでお別れです。また…会えますよね?』

「もうそんな時間なのか。そうだな、会いたいときは、また俺を呼んでくれよ。いつでも来るからさ」


ていうか、他の仕事は大丈夫なのだろうか?まぁ、神様だから平気か。
と、俺は変な納得の仕方で考えを終わらせた。


「あ、それと、俺の名前は神崎圭だから。あなた、じゃなくて、今度からは圭って読んでくれよ。」

『!!……はい、圭さん!………また!』


圭さんって…。別にいいか。


「おう、またな」


そうして、目の前に現れた扉をくぐって俺は再び向こうの世界へ戻って行った。












俺が戻って行ったあと…神界では…


「はぁー、帰っちゃったなぁ―…」


ちょっぴり落ち込んでいる神様がいた。


「なんだ、あいつのことが好きなのかい?」


何もない空間から突然現れた男はからかうように聞いた。


「ち、違うもん!別に、そ、そんなんじゃないよぉ!て言うか見てたの!?」」


顔を真っ赤にしながら必死に否定する神様。


「あぁ、僕の担当世界に生まれたんだ。別に見に来たって構わないだろう?…それに、中々面白い子じゃないか。なぁ、アリシア?」


神様―――アリシアと呼ばれた少女は顔を真っ赤にして俯いてしまう。


「しかし、お前は嘘が苦手だなぁ。そんなんじゃすぐにバレるぞ?」


男は笑いながらアリシアに言う。


「う、うるさいなぁ!もう!グラニスには関係ないでしょ!」


グラニスと呼ばれた男は、「困ったものだ」と呟くと、その場を去って行った。


「もう、ちょっかいばかり出しに来るんだから…」


アリシアはため息をついた。
しかし、実際彼にはいろいろと助けてもらったのだ。
まず、ほとんど無に近かったBLEACHの知識を教えてもらったこと。
それから、今回の儀式を自分にやらせてくれたこと。

本来、あの儀式は担当者である彼がやるはずだったのだが、無理を言って、私がやる事にしてもらったのである。

実は、世界がどこに決まったか、なんて、聞かなくても、圭が転生した時に分かっていた。

…ただ、彼ともっと話がしたかったから…。


(あー、もう!グラニスのせいで変なことばっかり考えちゃう!今度会ったら八つ当たりしちゃんだから!!)


………その姿の通り、やはり考えが子どもなアリシアなのであった。

-4-
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