小説『東方薬師見聞録』
作者:五月雨亭草餅()

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どうも、もう700年ぐらい生きている薬師出雲だ。
あの時の宴から早いもんでもう50年。
人里は明治時代ぐらいまで発達している。
普通そんなに早く発達できるものなのかと思い、鬼たちに訊いてみたところ、盗み聞きをした結果から天才が俺がこの山にくる11年ぐらい前に生まれていたらしい。その娘は何でも銀髪だったとか・・・・・・。
永琳じゃないよな?
バカだったし。
で、その娘は何十年も前から新しい物を作るのをやめたが、それとほぼ同時に新たな天才が生まれ、その数年後からその天才を中心に新しい物を作っているとか。
新たな天才は妖怪殲滅派で、昔からいる天才は妖怪共存派らしい。
どちらも何十年も前から生きているが一切老けていないとか。
盗み聞きによるとりあえずの情報収集によると、新しい天才は自身の能力で。
昔からいる方は薬を飲んでいる。
また、彼らだけでなく、人里の者たちが老けるのは人としてはともかくおそい。多分、長命なタイプの人類であり、人里の中に『時』、もしくな『歳』に干渉できる能力を持っている者がいると考えられる。
まあ、それはともかくとして、俺は今、人里とは逆方向の山の麓に来ている。
こっちの方には、山からそう遠くないところに大きな川がある。俺が居るほうは人里より遠くに行かないと大きな川がないんだけどな・・・・・・。
小川というのにも値しない小さな水の流れならたくさんあるのにな。
それに、こっち側は妖怪がたくさんいる。見渡す限り、さらにはもっと遠くまで妖怪の領域だ。行ったことはないが、遠きに天狗の里もあるらしい。数だけなら鬼よりも圧倒的に多いものの、個々の戦闘能力は逆に鬼が圧倒的な強さを持つ。なんて聞いたが、それはあくまで鬼側の視点なんだから実際のことは俺は知らない。
そんなことはどうでもいいとして、俺は麓の川で釣りをしている。一人じゃないぞ。鬼神こと牙煉も一緒にだ。1人でなんか寂しかったから昔釣りに誘って以来、牙煉が釣りにはまって逆に誘われるようになった。あくまで食べる分しか釣らないけどな。
でも、魚がかかるまでボーっとしたり、のんびりと牙煉と話したりするのが楽しいから飽きない。たまに葉華と来るとこうは問屋がおろさない。騒がしくなったり、どこからか(川からだけど・・・・・・)河童を連れてきて酒盛りを始めたりとやすらぎというものがない。その酒盛りで食われる魚は俺が釣った魚だ。まあ、食べないよりはましか・・・・・・。
「なあ牙煉」
「なんだ?」
「お前好きなタイプの女性とかないの?」
ふと先ほど思い出した。そういえば美月ば牙煉のことが好きなのだと。だから手助けになりそうな情報でも調べとくか、と思い訊いてみたのだが。
「好みの顔とか性格は無いが・・・・・・。しいて言うなれば体つきか」
「黙れ変態」
「誰が我一人変態だと?男など皆変態だ。お主とてわかるだろう。ボンッ、キュッ、ボンッ。だったか?最高だと思わぬか?」
「思わねーよ」
牙煉ってこんなおかしなキャラだったか?
まあいいか。別にこれまでと大差ないし。
「で、お主はどうなのだ?例えば葉華あたりとか」
はぁ、下手に話題を振ったら返してきやがった。
にしてま、葉華・・・ねぇ・・・・・・。
「美人だとは思うけどな」
「ほう、なら」
「結婚とかしないぞ。俺はもう700年近く生きているじーさんだ。そういった感情を永く一人で生活してきた影響で、俺は失っているし、葉華だって別に俺のことをそういった意味では好いてはいまい」
「・・・・・・・・・。頑張れ葉華」
「なんか言ったか?」
「何でもない。帰るぞ」
「はいはい、帰りますか」
2人は、能力と霊力、魔力や妖力を利用して空を飛んで山へ帰っていった。









「鬼神と思しきもの発見。人間と一緒に暢気に釣りをしていた、と。また、空を飛ぶことも可能。さて、こっちも帰りやすか」
羽を生やしたものが、書物を手に、山から高速で離れて行った。

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