小説『東方薬師見聞録』
作者:五月雨亭草餅()

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「貴様か、あの謎の光を放っていたのは」
どうも、マスタースパーク大好きな薬師出雲だ。
調子に乗って撃っていたんだが、どうやら敵さんの大将、天魔に目をつけられたらしい・・・・。はぁ、めんどくさいことになってしまったもんだ。
俺は端っこから鬼たちの援護をしているだけのつもりだったのにな・・・。
1vs1より、1vs多数の方が得意だからなぁ。まとめて倒せるし。
こういう状況なら2vs2とかのほうがいいんだが、まぁ無い物ねだりしてもしょうがないか。
「俺だよ、天魔どの」
「ほう、ならば我らが一族の仇を討たせてもらおうか」
「いや、殺してないから」
「その程度の小さなこと我前には関係ない」
・・・・・・・・・。自己中心的タイプか。これはまた厄介だこと。
というかもしこれに勝っても来年からどうするんだろ。どうせ天狗も宴に参加するだろうから上位は天狗が多くなる気がする。
まぁ、そんときなって考えればいいか・・・・・・・。
「出雲、そいつは我に譲れ」
「牙煉か・・・・」
牙煉まで来ちゃったよ。
あとの流れはだいたい想像つくなぁ、強い奴らがここに集まってここら一帯が周囲よりひどい戦いになるって感じだろうな。
はぁ、面倒くさい。
「お父様、そこの人間私に譲ってくれないかしら?」
おい、一人増えたよ。
それもかなり強い奴。多分このまま行くと俺の想像は・・・・。
「出雲、邪魔だ。私がやる」
「そ&#12316;だそ&#12316;だ、私たちがやるぞぉ」
「おい、葉華はともかく美月は酔ってんだろ・・・・・」
駄目だこいつ等、美月とか巨大な徳利持ったままだし。にしても良くこれまで徳利が壊れなかったな。
それは結構大きな謎だ。
「出雲や、わしらは鬼じゃ。よっていようが関係ない」
「ム」
はい、きました。鬼の四天王は勢ぞろいです。そして、天魔の後ろには、10匹ほどの天狗が降り立ってきて・・・・。
「天魔さま、お手を煩わせるほどでもありません。我ら大天狗ががやりますゆえに」
大天狗襲来・・・。
うざい・・・。
ああ、うざい・・・・・。
ああ、邪魔なんだ。
俺の目の前にいる連中が・・・・・・。
「どいてろ、こいつらは俺が潰す」
出雲の霊力が大量に放出され、鬼たちは吹き飛ばされた。
「来いよ、一人ずつでも全員まとめてでも」
たった一人の人間に、天狗の最高峰の戦闘力を持った集団は、一瞬ではあったものの気圧された。
そう、たかが一人の人間に。
「私から行かせてもらうわ。お父様もみんなも手を出さないでね」
しかし、それでも戦いをやめることはない。
彼らは既に歩を進めているのだ。ここまで来て止まるわけにはいかない。
さいは投げられたのだ・・・・・・・・・・・。
「一人か、俺の名前は薬師出雲、お前は?」
出雲は黒い羽が見えているため鴉天狗と思われる自分と対する少女に名を告げる。
彼女は、そんな出雲の行動に何かを思ってか笑みを顔に浮かべ、手に持つ錫杖を構えなおすと口を開く。
「私の名前は黒天(くろてん)よ、そしてこの名前はあなたがこの世界で最後に聞く名前よ」
黒天はそう言うなり錫杖で出雲に殴りかかった。


「危ない危ない・・」
出雲は体をそらして錫杖をよけると黒天に殴りかかる。
「スパークショット」
出雲の拳に光が宿り黒天に迫るが、錫杖で弾かれる。しかし、出雲の攻撃は止まらず、右手を地に付けてカポエラキックを放つ。
今度こそ黒天の体に吸い込まれたと思ったが、ギリギリで何かに吹き飛ばされる。
「私の能力は風を操れるの、だから単純な攻撃は風で防げるわ」
「・・・・・・」


いやぁ、参ったな。まさか能力持ちだったなんて思わねぇよ・・・・・。
ふう、でもやること自体に大差はない。
さっさと潰して次に行く。
出雲は自分に言い聞かせると、構える。
いつもと同じように。
いつものように攻撃を仕掛けるように・・・・。
でも、これまで一度しか使ったことのない技の構えを・・・・・・。
「エンシェントマスタァァァァァスパァァァァァァァァァァァァァク」
マスタースパークとは比べものにならない威力と、大きさを持った光が黒天を飲み込まんと迫る。
「だからうけないわよ・・・」
黒天はそう言うと風を自らの周囲に展開しようと操ろうとするが・・・・・
「風が、操れない!?」
風は操れず、完全に光に飲み込まれた。

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